リノベのハウツー
2019.08.06
『年収に問題ないはずなのに住宅ローンが落ちた。』なぜかを知るために読むコラム
なぜ住宅ローンに落ちたのか。銀行に聴いても明確な答えは教えてくれません。もし住宅ローン審査に落ちてしまったらどうすれば良いのか、落ちる原因は何か、そもそも住宅ローン申請の仕組みとは、ということについてご紹介していきます。
事前審査と本審査
住宅ローンには2種類の申請があります。事前審査と本審査です。
事前審査
主に返済能力を判断するためのもの。買付(購入したい物件に対して、購入申込書を書面で提出すること)のタイミングで審査用紙を書くのが一般的。借入金額や返済期間、勤続年数や年収といった必要最低限の項目で、おおよそ3日から1週間ほどで審査結果がでます。事前審査を出した銀行で必ず進めないといけない義務はなく、複数の銀行に審査を出して、条件を比較して決めるのが一般的です。
本審査
物件契約後に正式に住宅ローンを申し込むためのものです。複数に出すことはできません。事前審査と比べ、健康状態や対象物件の担保価値など、より詳しく審査されます。審査期間は2週間から3週間ほど。事前審査が通っていても、本審査で落ちる場合もあります。
審査の進め方
事前審査、具体的にどう審査を進めたらいいのか。自分で直接銀行に審査を申し込む場合と、不動産営業マンなどのプロに申込む場合の2種類の方法があります。
-プロに任せた場合
複数の銀行の特性を知っているので、最適な銀行を紹介してくれます。
「どこに審査を出したらいいのか、分からない」
「延滞履歴があり、自信がない」
「転職したばかりで、勤続年数が足りているか不安」
こんな場合は、プロに相談してみましょう。あなたと同じような状況の方を対応した経験が少なからずあるはずです。懇意にしている融資担当者も一人や二人いるものなので、より具体的なアドバイスを期待できます。
-個人での申請
あまりオススメできません。なぜなら個人での申請は優先順位が低くなることもあるから。不動産会社から出された申請の方が、購入時期が明確で、かつ正確な情報が揃っていることが多いため、優先的に審査をしてもらえる傾向にあります。また、窓口は平日しか空いていないため、時間的な制約があります。
住宅ローンが落ちた理由
なぜ住宅ローンが通らないのか。理由は様々ですが、大きく分けて「個人」か「物件」かのどちらか。ちゃんと返してくれる人なのか、これが個人に関すること。もし返せなくなったときに、その物件に担保価値があるか、これが物件に関することです。詳しくみていきましょう。
【個人】個人信用情報にキズがある
クレジットカードの延滞を繰り返しており、CIC(個人信用情報)で「異動」となっている。異動とは、いわゆるブラックリストのことで、この場合は即審査否決の回答がきます。
【個人】健康状態に問題あり
住宅ローン借り入れの際は団体信用生命保険に加入することが義務付けられている金融機関が多いです。2年以内の入院、手術、投薬治療は告知する義務があり、内容によっては、否決されます。持病をお持ちの方は事前に相談しましょう。
『平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書』によると、金融機関が融資を行う際に考慮する項目として、「健康状態」が最多。調査対象の98.6%が考慮すると回答しています。年収や借入額に目がいきがちですが、実はとても大事な項目なのです。
【個人】返済比率オーバー返済比率とは、年間のローン返済額が年収の何割になるかをみるものです。金融機関によって異なりますが、一般的に20%未満が無理なく返せる額だといわれ、40%を超える場合は減額もしくは否決される可能性が高まります。新たに借りる予定の住宅ローンとは別に、車のローンなどがある場合、これも年間のローン返済額に加えられます。
年収400万円の人が3000万円を返済期間35年、金利4%で組んだ場合、年間の返済額は約160万円。返済比率は40%となります。つまり、年収400万円であれば、3000万円が借入可能額の最大値ということになります。返済比率を計算する際には、審査金利で計算します。審査金利は金融機関によって変わりますが、4%が相場だといわれています。審査金利が4%でも、実行金利は1%を切るということはよくある話です。
【物件】借地権の物件定期借地権の物件は融資がつかない場合が多い。
定期借地とはある一定期間が過ぎたら土地を返納しなければいけないこと。そのタイミングで建物が取り壊される可能性があります。リスクが高いため、担保評価が低くなり、審査NGになる傾向があります。
住宅ローンが落ちたらどうなる?
1回や2回程度なら信用問題にはなりません。事前審査を行うと個人情報を開示したという履歴が残ります。何度も開示していると、何度も審査を落ちている証拠になってしまい、他の銀行を当たっても落とされやすくなってしまいます。ローンに落ちた場合は、やみくもに他の金融機関をあたるのではなく、プロに相談するのが賢明です。
住宅ローンが落ちたあとの対応について
諦めるのはまだ早い。最初に出したところでダメでも、2回目、3回目で通るケースは珍しくありません。一番NGなのは、延滞や病気など、ネガティブな情報を担当者に伝えないこと。融資担当者は、融資を通してあげたい人です。つまりあなたの味方。
「実は3年前に消費者金融からお金を借りて……」
「引き落としがうまくされてなかったかもしれない……」
「携帯の分割料金、延滞していたかもしれない」
こういったことを洗いざらい話して、相談してみるのが次に進む大事なポイントとなります。
クレジットカードや税金未納などで落ちた場合は、返済後2~5年の清算期間(未払いだった事実が白紙になるまでの期間)を設ける必要があります。1回の支払い忘れや引き落としミスであれば、きちんと支払える貯蓄や収入があったというエビデンスを提示すれば考慮してくれる場合もあります。
まとめ
上記のように住宅ローンに落ちる理由はいくつかの傾向があることがわかりました。しかし銀行は落ちた理由を教えてくれません。落ちた理由が明確に分からなければ、なかなか次へと進むことも難しい。
そのため、住宅ローンは先人たちの経験を参考にして、借りる銀行などを検討するのがオススメ。プロであれば、その経験こそが財産です。親身になってくれる担当者と銀行選定することで道が開けるかもしれません。
すでに審査をした方は、どういう理由で落ちたのか、記事を参考にして今後の対策を練る必要があります。まだ審査をしていない方は、自分の状況や適した銀行に審査をしてもらえるように、まずは相談する不動産会社やリノベーション会社が、ローンに明るいのかも含めて検討するようにしましょう。