リノベのハウツー
2020.09.12
相続税対策になる二世帯リノベーションとは
リノベーションに伴う相続税がどのくらいかかるのか、相続税を抑えるためにはどうすれば良いのか、などについては、あらかじめ把握しておいた方が良いでしょう。
リノベーションと相続税の関係
ここ数年二世帯住宅リノベーションが増えているのをご存じの方も多いでしょう。高齢化の進展を背景に、親世代と一緒に住もうと考える人が増えている、という事情もあります。
しかし実はそれだけではありません。相続税を意識した結果、二世帯住宅という選択肢を選んでいる人も多いのです。
その一因として、2013年の税制改正により、2015年1月1日から相続税の増税が決まったという制度の変化があります。これにより、今までなら相続税についてあまり考えていなかった層も無視できなくなったのです。節税対策として、二世帯住宅にリノベーションしようという考え方が広がってきています。
二世帯住宅へのリノベーションで相続税を減らす
では、なぜ二世帯住宅にリノベーションすることが相続税対策になるのでしょうか。
2015年1月より前は、相続税の基礎控除額は、
5000万円+(1000万円×法定相続人の数)
となっていました。
しかしこれが改正され、以下のようになりました。
3000万円+(600万円×法定相続人の数)
ただし、二世帯住宅に住む人に対して増税の緩和も行われました。「小規模宅地等の特例」の改正です。二世帯住宅にすることで、親の所有していた不動産の一部をリノベーションした子供の不動産として計上することが可能です。
・参考:税制改正について[国税庁HP]
相続税の計算について[国税庁HP]
しかし、この特例は従来、親と同居していた人(配偶者)、または二世帯住宅に住む人(子ども)に対して適用されますが、二世帯住宅でも、建物内で行き来できない完全分離型の構造では適用されませんでした。
そのルールが、この度の制度改正で緩和されました。具体的な数字としては、最大で80%程度を、子供の不動産に移動させることができるとし、大幅な節税効果を狙えるようになりました。二世帯住宅にリノベーションすることによって、相続税をゼロにしているケースも多いでしょう。
二世帯住宅の3タイプ
二世帯住宅には3タイプあります。共用タイプ、部分共用タイプ、完全分離タイプ、の3タイプです。共用タイプは玄関、キッチン、浴室、トイレなどを共用し、そのまま家族の数が増えるようなイメージです。
部分共用タイプは、親世帯と子世帯で玄関、浴室などのみを共用し、他は共用しないスタイルです。玄関、浴室に加え、キッチンやリビングも共用する部分共用もあります。
どこまで共用するかは家によって様々ですが、完全に共用するのではなく、一部は分離しているという点で共用タイプとは異なります。完全分離タイプは、玄関、キッチン、浴室、トイレなどが別々になっています。
完全分離タイプは二世帯住宅でありながら、お互いのプライベートを確保できるというメリットがあります。いずれの場合も二世帯住宅は安心感があり、経済的にもお得です。
特に親が高齢になると、いつ何があるかわかりません。そんなとき二世帯住宅なら、有事の際にすぐ対応できます。また子供世帯に子供(親世帯から見た孫)がいる場合、孫の顔を見る機会も多くできるかもしれません。
子供世帯は働き盛りなので、日中は仕事で家を空けることが多いでしょう。また、ちょっと外出する際に、親世帯に子供の面倒をお願いできると何かと心強いですね。
まとめ
リノベーションをするしないにかかわらず、不動産の相続時には相続税がかかります。相続税を抑えるための一つの手段として二世帯住宅の検討はおすすめです。
実際みなさんの周りでも、リノベーションで二世帯住宅にした人もいるかもしれません。高齢化の影響で親が心配だから二世帯住宅にしているという例は自然と増えてくることでしょう。その中で、相続税対策としての二世帯住宅リノベーションという手段があることも知っておきたいですね。