今日の季節
日本には、1年を4に分けた四季があります。
さらに24に分けた二十四節気があり、さらに72に分けた七十二候があります。ほぼ5日周期で季節は移ろいでいるのです。
その変化に私たちは気づかずに生きているのかもしれません。
ところが身体と心はそのかすかな変化を感じとり、気づかぬうちにその環境の変化に対応してくれています。
二十四節気と七十二候に心を寄せる時間。
ほんの少し、いかがですか。
2017年11月12日〜11月16日 地始めて凍る(ちはじめてこおる)
大地が凍り始める頃です。
少し前には“霜始めて降りる”という季節もあったように空気中の空気が凍ったり、地中の水分が凍って霜柱ができたり、氷が張ったり、自然界は寒さで凍り始める季節に入っています。
この季節の養生
冬に引き起こしやすい不調の代表格といえば“カゼ”ですよね。
カゼは何も冬に限らず引きかねないものではありますが、季節ごとに原因は違います。
冬は言うまでもなく“寒さ”が原因。不調を引き起こす寒さのことを『寒邪(かんじゃ)』といいます。
この寒邪に侵されないようにするためにはまずは上着などで体の表面を冷やさないようにすることです。
当然と言えば当然のことなのですが、少し回りくどい形でこの理由を説明します。
評熱病論という古い書物に「邪のあつまる所、其の気必ず虚す」と記されています。
つまり、邪気は正気(本来のエネルギーがある状態)が欠けているところに侵入しやすいということです。
冬の場合は、身体の内側よりも外側の正気が欠けやすい気候です。だからまずは体の表面を温めて寒邪の侵入を防げる対策を取ることが大切です。
もちろん、体の内側を食材で温めることも必要です。
生姜や唐辛子といった誰もが知る代表的な体を温める食材の他にも、オススメの食材は次回お伝えさせて頂きます。
この季節のまめ知識
毎年11月15日は『七五三』です。
明治以降は新暦となりましたが、元は旧暦の11月15日でした。
この日は陰陽道の“寄宿日(鬼の居ぬ間)”である吉日とされています。
ではなぜ、7歳までの儀式なのでしょう。
古くは、子どもは7歳までに命を落としやすいとされていたから。また、7歳までは神の子とされていたからなのだそうです。
現代ではそこまで重く受け止めなくとも、晴れやかな気持ちで伝統儀式に家族で参列し、子どもが健やかに成長していることをお祝いします。
七五三の日程は新暦で適応されていますが、年齢は明治以前の“数え年”を適用しているところが今もほとんどのようです。
その数え年で、男の子は5歳(3歳にも行うところもあります)に、女の子は3歳と7歳に神社にお参りをします。
そしてその後に持ち帰るのが千歳飴。
千歳飴は江戸時代の飴屋さんが売り出した七五三のお土産が始まりなのだそうです。細長い形は子どもの成長と長寿を願ってのこと。色もおめでたい紅白で着色されています。
この季節のバスタイムに活かしたいもの
夏なんかはシャワーで充分でも、日に日に寒さも深まり湯船にゆっくり浸かって温まりたくなる人も多いのではないでしょうか。
湯船に何も入れないのもいいですが、色々な入浴剤を試したり、お好みのエッセンシャルオイルを使って自宅でバスソルトを手作りされていたり、香りや効能を楽しみながらバスタイムを過ごされる人も少なくはありません。
そんななか少し古めかしく感じてしまうかもしれませんが、いまが旬のみかん、その皮を入浴剤代わりに使ってみるのはいかがでしょう。
食べ終えたみかんの皮を陰干しして、それをガーゼやネットなどに入れて、湯船につけるだけです。
血行促進作用があり体が温まるだけでなく、クエン酸やビタミンCも含まれているので美肌効果も期待できます。
柑橘類の香りはリフレッシュの作用もあり、心と身体に良いこと尽くしに天然で手頃な入浴剤です。
参考文献
・『日本人が大切にしたいうつくしい暮らし』井戸理恵子/かんき出版
・『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし〜』白井明大/東邦出版
・『大切にしたいにほんのたしなみ』広田千悦子/Softbank Creative
・『和の暦』堀川波/朝日新聞出版
・『性味表大辞典』竹内郁子/青雲社
・『中医薬膳学』辰巳洋/東洋学術出版
・『実用中医学』辰巳洋/源草社
"