今日の季節
日本には、1年を4に分けた四季があります。
さらに24に分けた二十四節気があり、さらに72に分けた七十二候があります。ほぼ5日周期で季節は移ろいでいるのです。
その変化に私たちは気づかずに生きているのかもしれません。
ところが身体と心はそのかすかな変化を感じとり、気づかぬうちにその環境の変化に対応してくれています。
二十四節気と七十二候に心を寄せる時間。
ほんの少し、いかがですか。
2017年11月17日〜11月21日 金箋香し(きんせんこうばし)
金箋とは金色の杯を意味しています。
白い花びらの中央部分に対して黄色い中央部分は杯のような形をしており、金箋は、水仙の別名でもあります。
その水仙の花が咲き、その香りが漂う頃です。
この季節の養生
前回に続き『寒邪』への対策法です。
前回は体の表面を温めて寒邪の侵入を防ぐことの大切さをお伝えいたしました。
今回は体の内側から温める食材を、薬膳の観点からお伝えしてまいります。
食材・生薬の効能の分類に『温裏類』というものがあります。
これは、臓腑を温めて冷えの症状を改善する作用のあるものの総称です。
細かく見ていけば「温中(おんちゅう)」「温経(おんけい)」「活血(かっけつ)」「温胃(おんい)」「温腎(おんじん)」などがあります。
今回は体を冷えから守るということに焦点を当てていますので、細かくは見ずに、体を温める作用のあるものをご紹介いたします。
・生姜・ニンニク・みょうが・わさび・辛子・胡椒・山椒・タイム・ナツメグ・クローブ・唐辛子・シナモン・陳皮・黒砂糖・味噌・ニラ・ネギ・小松菜・紫蘇・インゲン豆・鯵・海老・羊肉・鶏肉・赤貝・鮭・・・など
予想通りだったかもしれませんが、やはりスパイス類は体を温めるものが多いですね。
その中でも、意外かもしれませんが最も体を温める作用が強いものはシナモンです。
体を冷やす作用のあるコーヒーにシナモンを入れるというのも理にかなっている組み合わせです。
そして、羊肉もこの作用がとても強いものです。
今では全国的に広まっている食材ですが、元は北国の方でよく食べられる食材というのも頷けます。
寒い季節や冷え性の人にはオススメの食材ですが、暑がりな人や真夏にはジンギスカンなどは控えた方がいいとも言えます。
唐辛子や胡椒も作用が強いものです。それと並んで実はピーマンも作用が強いです。イメージとしては、体を温めるというより熱くするものと覚えて頂くのがいいかと思います。
砂糖は基本的には体を冷やしますが、唯一、黒砂糖は体を温める作用があります。
この季節のまめ知識
11月のことを「霜月」と呼びます。
寒くなり霜が降りる月、というのが由来です。
この他にも呼び方があるのはご存知でしょうか。
・10月・神無月の翌月ということで「神帰月(しんきづき)」
・神楽といって神を祭るための歌舞が行われる月ということで「神楽月(かぐらづき)」
・文字のごとく雪が降る本格的な冬の前の月ということで「雪待月(ゆきまちづき)」
というものもあります。
この季節の楽しみたい自然
街中にいても、日々の生活で身近に感じやすい紅葉(こうよう)の1つがイチョウではないでしょうか。
地域にもよりますし、今年は気温が下がり始める時期が早いこともありますが、例年ではちょうど今が見頃を迎えます。
日々の忙しさに追われていたり、色々なことを考えたり悩んだりしていると、意外といつも歩いている街並の変化に気づかず、いつの間にか紅葉が終わって木々は枝だけになっているということもありえます。
ふっと一息、気分を切り替えるためにも自然の変化に目を向けてみるのもいいものではないでしょうか。
参考文献
・『日本人が大切にしたいうつくしい暮らし』井戸理恵子/かんき出版
・『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし〜』白井明大/東邦出版
・『大切にしたいにほんのたしなみ』広田千悦子/Softbank Creative
・『和の暦』堀川波/朝日新聞出版
・『性味表大辞典』竹内郁子/青雲社
・『中医薬膳学』辰巳洋/東洋学術出版
・『実用中医学』辰巳洋/源草社"