お客様インタビュー
2018.09.28
築40年の実家をリノベ。中庭と吹き抜けのハンモックが家族をつなぐ!
JR甲府駅から徒歩10分というアクセスの良い立地に建つI 邸。
結婚後、Iさん一家はマンションに暮らしていましたが、家族が増えて手狭になり、母ひとりで住むには広すぎる戸建ての実家と交換することになったそうです。
ご夫婦と13歳、10歳、8歳の男の子がいる5人家族にとってその広さは確かに魅力的でしたが、非効率な間取りが悩みの種に。
特に妻は昼間でも照明なしでは過ごせないほど暗いダイニングキッチンに、快適さを望んでいました。
また、実家は鉄骨造とはいえ、築40年。
冬の寒さや結露、カビにも悩まされていたため、Iさんは工事費2593万円でリノベーションをしました。
そして完成したのが、中庭のあるこんなにステキな住まいです。
この中庭は増築でつくったものでしょうか?いえいえ、意外にもポイントは“減築”でした。
“増築”ではなく“減築”で生むゆとり
1階はほとんど機能していなかった和室をなくし、ワンルームのLDKにしました。
設計はコンペで決めた、ギルドデザインに依頼しました。
ギルドデザインのプランを選んだのは「キッチンが中庭に接していて、明るいのがいいと思ったから」と妻。
中庭は、Iさんのいちばんの希望だったといいます。
その中庭は屋根の一部を撤去し、広いLDKのなかに割り込むようにつくられました。
中庭の道路側はあえて廊下にすることで通りからの視線や音を遮り、開放感と落ち着きが両立した空間になっています。
部屋数は減りましたが、それ以上の明るさと快適さを手に入れたのです。
冬の寒さ解消のために断熱材を足し、リビングには床暖房のほかに薪ストーブも導入。広い空間をしっかりと暖めてくれます。
キッチン横にあるデスクは、子どもたちの勉強コーナーです。
デスクは2階にもありますが、そのときの気分や状況によって使い分けているそう。
デスク前の棚の裏側は子どもたち3人分のロッカーになっています。
以前は、帰宅するとランドセルや道具類が床に放り出されたままになっていたとか。
今は各自で決めたロッカーに収めていて、妻のストレスも解消したといいます。
LDKのすっきりとした空間をキープできている理由は、他にもあります。
それは、帰宅する家族の動線です。
家族は玄関奥につくられた広い土間から室内に入るようになっていて、野球やサッカーで土埃にまみれた子どもたちの靴や道具類も、気にせずにそのまま土間に置いておけるのです。
広い土間が収納も兼ねているため、土のついた野菜なども気兼ねなく置けます。
吹き抜けには子どもたちが大好きなハンモック!
明るく開放的に生まれ変わったアイランドキッチンからは、ダイニングとリビングが見渡せます。
さらには、見上げると吹き抜けを通して子どもたちの姿まで!
1階の天井を開けて吹き抜けをつくり、そこに遊具用のハンモックを吊っているのです。
建築家の磯村一司さんが夫妻のヒアリング時に「子育てを楽しんでいる雰囲気」を感じ取り、出したアイディアだそうです。
その分2階の床面積は減りましたが、ハンモックにクッションを入れて寝転ぶなど、活発な子どもたちにぴったりの遊び場になっています。
プランにメリハリをつけて予算オーバーを解消
順調に進んだように見えるI邸のリノベですが、問題もありました。
それは、当初の要望すべてを実現すると予算を大きくオーバーしてしまうこと。
そこで、予算配分にメリハリを利かせて計画を詰めていったそうです。
数年前のリフォームで設置した洗面ボウルとカウンターは、そのまま利用しています。
2階は既存の間仕切りを取り払ってワンルーム化したうえで、必要に応じてカーテンで仕切るスタイルにしました。
さらに、2階の内装は極力シンプルにしました。
壁と天井は下地材のままにし、床は構造用の合板を使用してコストコントロールしています。
2階の明るい窓辺には、兄弟が並んで勉強できる長いデスクを造り付けています。
こうして子どもたちが2階で勉強し、夫妻が1階にいても吹き抜けがお互いの様子を伝え合います。
2階建て以上の戸建てでは、空間が少なくとも上下で分断されるものですが、家族のつながりが温かく感じられるI邸でした。
※工事費、ご家族の年齢等は取材時のものです
設計/ギルドデザイン一級建築士事務所 https://www.guild-design.com/
撮影/遠藤 宏