リノベのハウツー
2022.02.08
築40年のマンションの耐震性の見方と、メリットデメリット。築40年以上のリノベーション事例5選
地震の多い日本において、マンションの耐震性は購入前にチェックしておきたい項目の1つで、築古のマンションはなんとなく耐震性が不安だというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。今回は築40年という築古のマンションについて、耐震性の見方やメリット・デメリットについて解説します。
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目次
築40年のマンションの耐震性はどう見る?
「築40年のマンションは耐震性が不安」とは一概には言えません。耐震性を見極めるために、いくつか知っておきたいことがあります。
新耐震と旧耐震から見る築40年のマンションとは
建物の耐震性を判断する基準の1つに、「新耐震」と「旧耐震」があります。1981年6月1日以降に建築確認された建物は「新耐震」、それ以前に確認された建物は「旧耐震」の基準で建てられたマンションです。
・新耐震→震度6強から7程度の揺れに耐えられる設計
・旧耐震→震度5強程度の揺れで倒壊しない設計
(参考:R.E.words不動産用語集「新耐震基準」|株式会社不動産流通研究所)
2022年現在、新耐震と旧耐震を分ける1981年から40年以上が経過しており、現時点で築40年以上のマンションには新耐震と旧耐震が混在しています。ここで注意が必要なのが、新旧の耐震基準を分けるのは建物が完成した日ではなく、建築確認された日付であるということです。建築主は、工事を始める前に建築予定の建物が法令に適しているか確認を受ける必要があり、これを建築確認と言います。建築確認してから工事を進めるため、例えば1981年6月に完成したマンションはそれ以前に建築確認を受けており、旧耐震である可能性が高いのです。
ただ、必ずしも「新耐震=安全」「旧耐震=危険」であるとは言えません。旧耐震で建てられた築40年以上のマンションでも、新耐震に劣らないほど堅固な造りの場合もあります。新耐震と旧耐震は、建物の耐震性を知るための1つの目安として捉えましょう。
マンションの耐震性を決めるのは築年数だけではない
建物の耐震性は築年数だけでは判断できません。築古のマンションでも、建物の老朽化に応じて修繕を行うなど適切に管理されていたり、過去に耐震診断を実施して必要な耐震補強を施していたりする場合もあります。どのように管理されてきたかという点も大切な要素なのです。
また、マンション自体の形も耐震性に影響するとされています。一般的に地震に強いと言われているのは、正方形や低層のマンションです。反対に地震に弱いのは、1階部分が駐車場になっていたり、建物全体の面がそろっていなかったりするマンションだとされています。ただ、このようなマンションでも技術によって耐震性を高めている場合もあります。
築40年以上の物件のメリット・デメリット
築40年以上のマンションを購入するメリットとデメリットを解説します。
メリット
・物件購入価格が抑えられる
・大規模なリノベーションもしやすい
・条件の良い立地で物件が見つかりやすい
■物件購入価格が抑えられる
物件の価格を決めるのは築年数だけではありませんが、一般的に築古の物件は価格が安く抑えられます。購入後に価格が大きく下がるリスクも低く、資産価値が安定していると言えます。
■大規模なリノベーションもしやすい
物件の購入価格を抑えられると、その分リノベーションに費用を充てることも可能です。間取りや水回りの位置を変えるなどの大規模なリノベーションは費用がかかるため、あえて築古物件を購入してリノベーションに予算をかけるという方法がとれます。ライフスタイルに合った間取りに変えたり、自分好みの内装や設備にしたりとリノベーションの範囲も広げられるでしょう。
■条件の良い立地で物件が見つかりやすい
基本的には良い立地条件の場所からマンションが建てられるため、新築や築浅に限定して探すと希望の場所で物件が見つからないこともあります。築40年以上まで視野に入れることで、駅近や生活に便利なエリアの物件に巡り合える可能性も高まります。
デメリット
・住宅ローンで希望の金額が借りられないこともある
・修繕積立金が高い場合がある
■住宅ローンで希望の金額が借りられないこともある
マンション購入時には住宅ローンを利用する方も多いでしょう。審査においては、年収や年齢といった本人に関わることの他に、購入する物件の評価額なども考慮されます。物件の評価の際には、築年数や構造、耐震性、駅からの距離などさまざまな項目が対象となりますが、その評価額の範囲内での融資となることが基本です。評価額が低いと、希望の金額での融資を受けられない可能性があります。
■修繕積立金が高い場合がある
マンションは修繕積立金が毎月徴収されることが一般的です。修繕積立金は外壁塗装や給排水設備などの修繕に使われるもので、築古の物件ほど高額になる場合があります。
築40年のマンションを検討する際の注意点
・適切にメンテナンスされているか
・配管の状態や修繕状況はどうなっているか
・空室のリスクは低いか
建物は年数が経つほど老朽化が進みます。建物を健全な状態で維持していくためには、適切なメンテナンスが欠かせません。いつ、どのような工事が必要であるかといった長期修繕計画を立て、工事を実施するために資金がいくら必要かを把握して計画的に修繕積立金を貯めていくことが必要です。これまでにどのような修繕が実施されてきたかもチェックしましょう。また、配管設備の寿命や修繕状況も要確認です。
長く快適に住み続けるためには、空室リスクも考えておきたいポイントです。マンション内に空室が多くなると、十分な修繕積立金や管理費の徴収ができないといった事態が起こる可能性があります。一般的に、築古であっても立地条件が良いマンションは需要が高い傾向にあるため、空室リスクを抑えられるでしょう。
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まとめ
築40年以上のマンションにはデメリットもありますが、条件の良い立地で価格を抑えて購入できるといったメリットがあります。築40年のマンションの耐震性を見極めるためには、新耐震と旧耐震の基準だけでなく建物の構造や耐震補強の状況なども確認しましょう。建物は適切な管理をすることで老朽化した部分を強化していくことが可能です。マンション購入の際はメンテナンス状態もチェックしましょう。
writing:ハナミ