リノベのハウツー
2020.11.09
アイアンとスチールの違いとは、それぞれの特徴や建築での利用方法を紹介
新築やリフォームの計画を立てるときには、使用する材質にも注意を払いましょう。建築にはさまざまな材質が用いられていますが、特徴は材質ごとに異なるからです。
今回はアイアンとスチールの違いについて解説しますが、どちらも似たような材質でできているので違いが分からないという方もいるのではないでしょうか。この記事を一読すればアイアンとスチールの利用方法を把握できるでしょう。新築やリフォームを検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
アイアンとスチールの違い
アイアンの英語表記は「iron」ですが、日本では鉄と訳されます。一方で、スチールの英語表記は「steel」で、日本では鋼や鋼鉄と訳されます。そのため、アイアンとスチールの違いは、アイアンが鉄でスチールが鋼と説明できるでしょう。
鉄と鋼の違い
鉄は鉄鉱石と呼ばれる岩石から作られています。ただし、鉄鉱石には鉄だけでなく他の成分も混じっているので、石灰やコークスと呼ばれる石炭を原料とした燃料を使って取り出しているのです。
一方で、鋼は鉄を主成分とした合金です。鉄と同じように鉄鉱石から作られますが、一酸化炭素を使って炭素を合成しているのです。
そのため、鉄に含まれている炭素の量は0.02%未満であるのに対し、鋼は0.02~2%ほどの炭素を含んでいます。なお、炭素の割合が増えると硬度はアップしますが折れやすくなるという問題が生じます。
また、炭素の割合を減らすと柔軟性がアップしますが曲がりやすいという問題が発生するのです。そのため、鋼の炭素量は2%以内に抑えています。
アイアンの特徴と建築での利用方法
ここでは、アイアンの特徴や建築での利用方法を紹介します。新築やリフォームで使用する材料をチェックするときの参考にしてください。
純度の高いアイアンを使用する機会は少ない
建築の中には「鉄筋コンクリート造」や「鉄骨造」といった造りがありますが、建築ではアイアンを目にする機会は少ないでしょう。つまり、建築で「鉄」と記載しているときは「鋼」を使用しているのです。
建築でアイアンを使うことが少ない理由は、もろさにあります。純度100%の鉄は酸化しやすく、非常にもろく作られているので加工が困難です。そのため、建築において純度の高いアイアンの使用は使う機会は少ないでしょう。
なお、アイアンやスチールを触ったときに「鉄のニオイがする」と感じる方もいますが、アイアンやスチールにはそれ自体にニオイはありません。アイアンやスチールは人間の皮脂に触れると酸化する特徴があり、酸化したときのニオイが「鉄のニオイ」と感じるのです。
スチールの特徴と建築での利用方法
次に、スチールの特徴や建築での利用方法を紹介します。
炭素の割合で性質が異なる
スチールには炭素が含まれていますが、含有量の違いによって性質が異なります。スチールに含まれる炭素の割合が高くなると、スチールは硬くなります。
一方で、スチールに含まれる炭素の割合が低くなると、スチールは粘り強さが出るのです。スチールについては、固さと粘り強さを同時に高くすることはできません。そのため、用途に応じて硬さを選ぶことが大切です。
少ない材料で大きな建物を作ることができる
スチールのメリットは、他の金属に比べて重さに対する強度が大きいことです。少ない材料でも高い強度を維持できるので、家の建築をはじめ、高層ビル、橋、工場などの大きな建物の建設にも向いています。また、古い建物を解体する際にもスチールは再利用が可能なので、解体費用が安くなるというメリットもあるのです。
一方で、スチールには熱に弱いというデメリットがあります。高温になると強度が失われるので、建築で使用する際には耐火被覆が必要です。具体的には、耐火材や耐火板などをスチールに吹き付けたり巻き付けたりします。そのため、スチールを用いるときには耐火被覆を施しているのかのチェックをしましょう。
また、スチールは断熱性が低いので、外壁や天井には断熱材を使う必要があるでしょう。外壁にスチールを用いるときには、暑さや寒さの対策を施す必要があります。
加えて、スチールはサビやすいというデメリットがあります。そのため、外気に触れる部分にスチールを取り付けるときには、塗装などの防錆処理が必要になるでしょう。
まとめ
今回の記事では、アイアンとスチールの違いについて解説しました。どちらも鉄鉱石から作られていますが、スチールは炭素を加えた合金です。アイアンは純度が高いので加工には向いていませんが、スチールは加工が可能なので建築資材として使われています。
スチールには重さに比べて強度が高いというメリットがありますが、高温になると強度が失われるというデメリットがあります。そのため、建築資材として用いるときには耐火被膜を施しているのかチェックしましょう。