リノベのハウツー
2020.05.05
住宅ローンを低金利だけで選んではダメな理由とは?
人生でおそらく最も大きな出費となるであろう新築購入やリノベーションですから、住宅ローンの金利は低いに越したことはありません。なおかつ今は超低金利と言われている時代。変動金利は0.4%を切り、全期間固定金利でさえ1.3%を下回ることに加え、銀行間の低金利競争も熾烈を増していますから、ついつい最も低い金利が提示されている住宅ローンを選びたくなるものです。
しかしながら、実は現在の住宅ローンは単なる金利の高低では比較できないほど多様化されています。それに伴って、銀行ごとに得意とする金利タイプや商品、サービスまでもが違うほどです。
もちろん、ある程度横並びで共通している部分もありますが、低金利だからといって必ずしもお得とは限りません。銀行ごとにそれぞれ力を入れている商品やサービスが違うので、金利の高低だけではサービスの良し悪しが評価しづらくなってきているためです。
そこでこの記事では、低金利だけではない住宅ローンを選ぶ際の目の付けどころについて解説していきます。
「諸費用」のチェックは抜かりなく
住宅ローンを組む際に意外と盲点なのが「諸費用」。いわゆる事務手数料や団体信用生命保険といった保険料、及び保証料などの費用です。金利の安さを売りにしていても、実は諸費用と合わせれば他よりも高かった場合もあるなど、住宅ローンはトータルコストで考える必要があります。
例えば、多くの銀行で採用されている事務手数料が、借入金額の2.2%という基準。もし借入金額が2000万円なら、事務手数料だけで44万円にもなりますから、かなりの出費になります。
また、保証料という費用を徴収する銀行もあります。多くの場合、メガバンクで見られる形態で、事務手数料はかなり低めに抑えられている代わりに保証料に数十万かかる場合があります。トータルで見れば、事務手数料を高額に取られる場合と大差がないことも。
事務手数料が高額になりやすいパターンはソニー銀行やイオン銀行などのネット銀行系に多く、保証料が高額なパターンはメガバンク系に多いようです。最近では、ソニー銀行のように金利は変動金利より高めながら、事務手数料を一律44000円に抑えた商品もあります。もちろん保証料は無料です。
新生銀行の事務手数料55000円という商品も魅力的です。ただ、事務手数料は抑えられている反面、金利は高めに設定されている場合が多いようです。
固定期間選択型は固定期間終了後の金利に要注意!
また、金利で気を付けなければならないのが「固定期間選択型」を選んだ場合の、固定期間後の金利です。当初固定金利が低い場合でも、当初固定期間終了後には金利が上昇する場合が多く、トータルで計算すればそこまで安くはならなかったパターンもあります。もっとも固定金利期間内に全額返済し終わるのがベストですが、そうならなかった場合に備えて「固定期間選択型」を選ぶ際には、十分な比較検討とシミュレーションを行いましょう。
さらに、オプション項目の豊富さを売りにしている金融機関もあります。例えば「団体信用生命保険料」に加え、全疾病保障(8疾病+病気・ケガ)などが無料で付帯している住宅ローンもあります(住信SBIネット銀行など)。その他、がんと診断されればローン残高が半分になる「がん50%保障団信」を無料で付帯する金融機関もあったりと、オプションサービスによっても各金融機関の商品に大きな違いがあります。
また、ソニー銀行や新生銀行のように頭金の金額によって金利に差が出る場合もあるほか、新生銀行の「ステップダウン金利タイプ」商品のように契約から10年目以降になると、5年ごとに金利が下がっていく珍しい商品もあります。
低金利だけではない!住宅ローン控除や補助金制度にも注目
低金利を選ぶだけが住宅ローンではありません。一定の条件を満たせば住宅ローン控除の対象となり、毎年住宅ローン残高の1%を上限に住宅ローン控除を受けることができます。
また、補助金制度の活用も大切です。省エネルギーやバリアフリーなどの高機能住宅、子育て住宅など、補助金を受けやすい住宅については、通常から割り引かれた金利でローンを組める場合もあります。例えば、これらの住宅に適用可能な住宅ローンで、全期間固定金利型である「フラット35S」では、通常の「フラット35」よりも当初から一定期間、金利を0.25%下げる制度を採用しています。これに自治体が提供する補助金制度を活用すれば、かなりの費用を抑えられますから、トータルコストで見れば変動金利型住宅ローンよりもお得になる可能性もあります。
このように、住宅ローンの金利の高低にとらわれてしまいがちな住宅ローンですが、様々な優遇制度を活用することで、費用を抑えられるばかりでなく、ワンランク上の高機能住宅を手に入れられる可能性もあります。住宅ローンを組む際には金利だけでなく、諸費用や控除、補助金制度など、様々な観点から検討することで、より自分に合った商品にたどり着くことができるでしょう。
まとめ
住宅ローンの金利は安いに越したことはありませんが、その他の諸費用などにも目を向ける必要があります。また、住宅ローン控除や補助金制度など、様々な観点から総合的に判断することで、費用を抑えつつ、自分に合った商品を選ぶことがおすすめです。