リノベのハウツー
2020.03.15
フラット35Sは金利がお得になる?フラット35Sってどんな制度?
住宅ローンの代表格、フラット35。その中でも金利がお得になる「フラット35S」とは、どのような制度なのでしょうか。今回は、フラット35Sの概要について徹底解説していきます。
フラット35Sはこんな制度!
「フラット35S」は、フラット35の利用者が取得する住宅が「省エネルギー性」「バリアフリー性」「耐震性」「耐久性・可変性」の4分野のうち、いずれか1つ以上の基準を満たしていれば適用可能です。基準を満たす質の高い住宅を取得する場合には、借入開始時から一定期間、金利が引き下げられるという仕組み。
金利引き下げには予算設定があるため、予算に達した時点で制度は終了するとアナウンスされています。
フラット35Sには、借入当初から10年間金利が引き下げられる「金利Aプラン」と5年間金利が引き下げられる「金利Bプラン」が存在。金利Aプランは金利Bプランに比べ、より厳しい適用基準が設けられています。
金利はどれくらいお得?
フラット35Sがどのような制度かわかったところで、最も気になるであろう、金利の引き下げ幅について見ていきましょう。
2020年3月31日までの申し込み受付分に適用される金利引き下げ幅は、年利0.25%。金利Aプランであれば10年間、金利Bプランであれば5年間に渡り、通常のフラット35の金利から0.25%引き下げられるというわけです。
これがどれくらいお得か、実際にシミュレーションしてみましょう。ここでは「借入金額3,000万円・金利年1.0%・借入期間35年・元利均等返済(ボーナス返済なし)」という住宅ローンを想定します。
実際に計算すると、下記の通りになります。
通常のフラット35
・月返済額:約8.5万円
・総返済額:約3,557万円
フラット35S(金利Aプランの場合)
・月返済額:10年目まで約8.1万円、11年目以降約8.4万円
・総返済額:約3,487万円(フラット35との差額:−70万円)
フラット35S(金利Bプランの場合)
・月返済額:5年目まで約8.1万円、6年目以降約8.4万円
・総返済額:約3,519万円(フラット35との差額:−38万円)
金利Aプランで70万円、Bプランで38万円、通常のフラット35よりも総返済額が少なくなっています。また、金利優遇期間が終了した後の月返済額も少なくなるため、全期間を通じて支払い負担が小さくなるのもポイントです。
適用に必要な基準とは?
それでは、フラット35Sを適用するために必要な基準とはどのようなものなのでしょうか。「省エネルギー性」「バリアフリー性」「耐震性」「耐久性・可変性」の4つの分野のうち1つを満たしている必要があるとお話ししましたが、具体的にどのような基準なのか解説していきましょう。
金利Aプランの基準
金利プランによって基準が異なるため、まずはより基準が厳しい金利Aプランから見ていきます。いずれか1つ以上の基準を満たしていれば適用可能です。
<省エネルギー性>
● 認定低炭素住宅として認定されていること。
● 一次エネルギー消費量等級「5」を満たしていること。
● 性能向上計画認定住宅であること。
<耐震性>
● 耐震等級「3」を満たしていること。
<バリアフリー性>
● 高齢者等配慮対策等級「4」以上の住宅であること。
● マンションの専用部分の場合は、同等級「3」でも可。
<耐久性・可変性>
● 長期優良住宅であること。
金利Bプランの基準
次に、金利Bプランの場合を見ていきます。これもいずれか1つ以上の基準を満たしていれば、適用が可能です。
<省エネルギー性>
● 断熱等性能等級「4」を満たしていること。
● 一次エネルギー消費量等級「4」以上であること。
<耐震性>
● 耐震等級「2」以上であること。
● 免震建築物であること。
<バリアフリー性>
● 高齢者等配慮対策等級「3」以上の住宅であること。
<耐久性・可変性>
● 劣化対策等級「3」、かつ、維持管理対策等級「2」以上であること。
金利Bプランの場合、Aプランに比べて全体的に基準が緩やかであることがわかります。また、金利Bプランでは、中古住宅に限って、以下の基準のいずれか1つを満たす場合も適用可能です。
● 二重サッシもしくは複層ガラスを利用していること。(省エネルギー性)
● 建設住宅性能評価書の交付などを受けている住宅であること。(省エネルギー性)
● 浴室と階段に手すりを設置していること。(バリアフリー性)
● 屋内の段差を解消していること。(バリアフリー性)
(参考:フラット35「【フラット35】Sの対象となる住宅」)
金利を取るのか建築費を取るのか
フラット35Sは、基準さえ満たしていれば金利面で優遇を受けられ、総返済額を減らすことができるということがわかりました。
ただし、注意しなければならないことがあります。それは、フラット35Sの基準を満たすためには、それ相応の建築費を見込まなければならないということです。高品質の住宅を建設すれば、フラット35Sによる金利の優遇分以上に建設費がかさむ可能性もあるでしょう。
一方で、優良住宅を建設することで、長年快適かつ安全に暮らすことができるかもしれません。このように住宅を取得する際には、金利面・建築費・快適性などのバランスを考える必要があります。
まとめ
今回は、金利の優遇が受けられる「フラット35S」について解説してきました。
住宅ローンは複雑なので、悩んだらプロに相談してみることを検討しても良いでしょう。