リノベのハウツー
2019.12.19
輻射熱とは?特徴を知って、寒さ&暑さ対策!
皆さんは、輻射熱という言葉をご存じですか?熱の伝わり方の一種なのですが、その特徴を知っておくと快適な生活に役立てることができるのです。
暑がりや寒がりの方にはぜひお伝えしたい、輻射熱の特徴。具体的な活用方法もあわせて、解説します。
太陽も輻射熱だった!その温まり方の特徴
輻射熱とは、温度の高い物体から低い物体へ、電磁波によって伝わる熱のこと。物体の中の方まで届く特徴があり、体感としては「芯から温まる」ものと言えるでしょう。
例えを挙げましょう。
・壁の温度が体温より高い時には、壁から体へ放たれる電磁波が「暑さ」を感じさせます。
・壁の温度が体温より低い時には、体から壁へ放たれる電磁波が「寒さ」を感じさせます。
どんな物体も、常に電磁波を放っています。よって、どんな場面でも輻射熱は生じているのです。
輻射熱を熱の伝わり方で比較
輻射熱の概念は、少しわかりづらいと言われています。ここでは、他の熱の伝わり方と比較して解説します。きっと輻射熱についての理解が深まるでしょう。
一般に、熱の伝わり方には3種類あると言われています。
1.熱伝導
2.対流
3.輻射熱
それぞれについて解説します。
1.熱伝導
物体の中で熱が高温部分から低温部分へ移動すること。料理に使うおたまが例として挙げられます。熱い鍋におたまの先を入れておくと、取っ手の部分も徐々に熱くなってくるでしょう。この現象が、熱の伝導です。
ちなみに、ある物体と他の物体が接触している時も、この伝導が起こります。カップアイスを持った時、手の体温でアイスが溶けていくことがよい例です。
2.対流
気体や液体などの流れに乗って、熱が運ばれることを言います。エアコンはこの対流を利用して、部屋を暖めているのです。なお、自然な状態では気体も液体も温度の高い部分が上昇する性質があります。そのため、部屋の中では暖かい空気が上にたまるのです。
3.輻射熱
放射熱と呼ぶこともあります。先に解説しましたとおり、電磁波を介して熱が移動することが特徴と言えるでしょう。熱伝導のように触れていなくても熱が伝わります。そして、対流のように空気等を介さなくても伝わる熱です。電磁波は真空中も移動できるため、太陽によって暖かくなるのは輻射熱によるものと言われています。
輻射熱の説明として、よく引き合いに出されるのが直火と炭火の違いです。直火は気体を通して熱を伝える対流であり、表面はよく焼けますが中まで火が通りづらいと言われています。一方の炭火は輻射熱。電磁波は物体の深部までとどき、じんわりと火が通ることになるのです。
これまでのお話で、輻射熱の特徴はご理解いただけたのではないでしょうか。次は、輻射熱をうまく利用した寒さ対策を解説します。
寒さがつらい冬に。輻射熱を使った暖房術
体の芯から温まるのが輻射熱の良いところ。寒い冬には重宝するでしょう。では、輻射熱を利用した暖房器具にはどんなものがあるのでしょうか。
・オイルヒーター
電気で内部のオイルを熱して、パネルを温めるしくみ。パネルからの輻射熱により、じんわりと部屋を暖めることができます。やさしい暖まり方や火を使わない安全性が好評の暖房器具です。
しかし、一般的に暖まるまでに時間がかかると言われており、即座に暖まりたい場合には不向きとされています。
オイルヒーターの置き場として推奨されているのは、冷気の入り口。部屋の構造にもよるのですが、窓やドア付近に置くことで部屋全体をしっかり暖めることができると言われています。
・電気ストーブ
石油ストーブとは違い、火を使わないものが主流。内部の管などを電気で高熱にして、そこからの輻射熱で暖まります。オイルヒーターに比べてかなり早く暖まるため、すぐ暖まりたい時には効果的です。基本的には局所暖房に向いていると言われ、部屋全体を暖める効果は高くありません。
・こたつ
テーブルの裏の電熱線が発熱し、輻射熱で足元を暖めます。こたつ布団をかけている場合、床や足がしっかり温まることで布団内の空気も暖まります。そのため、電源を切っても暖かい空気が持続しやすいと言われています。
しかし暖まり方は極めて局所的で、部屋全体を暖める目的のものではないと言えます。電気ストーブやこたつのような暖房範囲が狭いものは、対流式の暖房器具(例えばエアコン)と合わせて使うと良いでしょう。自分もしっかり暖まりつつ部屋も暖まる効果が期待できます。
冬に役立つ暖房の使い方を解説しました。では次に、夏に役立つ輻射熱対策を解説します。
暑くてつらい夏に。輻射熱から身を守る方法
温度の高い夏の日。「窓を開け放しているのに、なぜか暑い」という経験はありませんか?この場合、暑い空気が入ってきているせいではなく、コンクリート等からの輻射熱が伝わってきているために暑く感じると言われています。
輻射熱を抑えるには、物体そのものの温度を下げる必要があります。地面に水を撒く、いわゆる「打ち水」で地面自体の温度を下げることが効果的です。また、庇(ひさし)をかけて地面に日光が当たらないようにしても良いでしょう。
まとめ
輻射熱とは、物質から出る電磁波が伝える熱であることを解説いたしました。物質の温度自体から伝わる熱であること、深部が温まる性質があることといった特徴があります。
この特徴を把握しておくことで、効率的に冬の寒さや夏の暑さをしのぐことができるでしょう。