お客様インタビュー
2020.10.24
vol.45【リノベ|インタビュー】「ブティックホテル」な自宅が完成。62m2台を広く見せる、ルーバー使い
今回ご紹介するのは、一般的な2LDKから広々とした1LDK +ワークスペース・WICにフルリノベーションしたSさん邸。スタイリッシュな空間は、男前インダストリアルスタイルやブルックリンスタイルのお手本です。建材選びや小ワザを効かせて、無理のないコストで無機質すぎないクールな空間に仕上げました。
そんな理想の家を実現したSさんに、家探しの経緯から物件の決め手、リノベーションでこだわった点についてお伺いしました。
目次
理想の家づくりなら、やっぱりリノベーション!
家を購入しようと思ったきっかけを教えてください。
「家を買うなら年齢的にそろそろと思ったからです。寮に住んでいて引っ越しのタイミングで賃貸も検討しましたが、どれも狭かったので、やっぱり自分で買おうと思いました」
最初は新築で検討されていたそうですね。
「リノベーション会社を探す前に見ていました。場所はいいけど内装が好みじゃなかったり、なんか気に入らない部分があったりして。新築で本当に理想の家を探すとなると、1億くらいになっちゃうなと(笑)。予算を考えたらリノベーションのほうが自分には合うと思い、検討し始めました」
他のリノベーション会社もご覧になりましたか?
「1社だけ見に行きましたが、リノベ不動産さんは行ってすぐに『ここにしよう』と決めました。専門知識がすごいなと。他社は質問しても正確に応えてくれなくて、自分の中で腑に落ちなかったんです。当時の寮から近かったのも決め手でした」
以前のお住まいとは大分違うエリアとのことですが、こちらにした理由は?
「前のエリアでも検討しましたが、物件が結構高くて。通勤時間もかかったので、もう少し会社から近いエリアにしようと思い、自分の行動範囲内かつ都心へのアクセスが良いエリアで探しました」
物件は10件以上見られたとのことですが、こちらにした決め手は?
「内見していた頃が冬だったんですけど、ここは2階なのに15時を過ぎても日当たりが良くていいなと。他の物件ではそんなことがなかったので気に入りました。駅からも近いのに静かなことも決め手でした」
参考にしたのは海外のブティックホテル・サービスアパートメント
家づくりのテーマを教えてください。
「『コンクリート・クール・ステンレス』です。旅行が趣味で海外によく行くんですけど、ここ数年でオープンしたブティックホテル(比較的に規模が小さく、オリジナリティやデザイン・サービスを売りにしているホテルのこと)やサービスアパートメント(ホテルのようなサービスが付いている賃貸物件)みたいに、仕切りがない開放的な空間にしたいと思っていました」
なので、あえて寝室も壁で仕切らなかったのですね。
「いかにも“仕切り”って感じが嫌なんです。本当はベランダの窓を活かして、サンルーム(天井や壁をガラス張りにして、太陽の光を取り込む部屋)みたいに窓で囲まれた寝室にしたかったんです。でも、そうするとコストがかかるし、なかなかいい素材が見つからなかったので、木製ルーバーにしました。空間全体が広く見えるし、光も空間全部に入ってくるので気に入っています」
ルーバーとは、細い羽板を等間隔の隙間を空けて並べたもの。ルーバーは仕切りながらも隙間があるので抜け感が生まれ、採光・風通しも良くなります。
ルーバーにしたことで、寝室側の窓からも光を取り込められるようになったので、空間全体が明るくなっています。
もっと快適に!アイディアが詰まったリビング
躯体現しと白壁の組み合わせで、クールでスタイリッシュ空間に仕上げています。冷たい印象にならない理由はスポットライト。白壁に反射する柔らかな光が、落ち着いた大人の雰囲気を演出しています。
床はモルタルですか?
「予算を抑えたかったので、LDK・寝室・WIC・洗面室・トイレはモルタル風のフロアタイルにしました。玄関とホールの床はモールテックスです」
リノベーションでも人気のモルタル。しかし、モルタルはフロアタイルに比較してコスト高なことと、ヒビ問題は避けて通れません。その2点が気になる方におススメめなのが、モルタル風のフロアタイルです。
また、モールテックスはモルタルとほぼ同じですが、より耐水性・強度に優れている左官塗材。屋内外どちらにも取り入れられます。その分、モルタルよりもコスト高と言われているので、どこに、どのように使うのか吟味したいところです。
テレビ下の造作棚がとてもおしゃれですね。
「これもこだわりました。ソファから向かって右側の出窓があるほうは、ベンチにもなっているんです。テーマは『カフェの窓側席』。座っても大丈夫なように、棚下はテレビ側のように床下に空間を作っていません。ソファで過ごすのとはまた違う気分を味わえる、お気に入りの場所です」
最近リノベーションで多く取り入れられているのが、ベンチにもなる造作棚です。一つで二役なので、ちょっとしたスペースを有効活用できます。出窓は元からある設備で、壊すことができません。こういった取り壊せない物の活かし方に悩んだときは、Sさんのようにテーマを決めて自分独自のスペースにすると、家で過ごす楽しみが増えますね。元からある物を自由なアイディアで活かすことができるのも、リノベーションの魅力。Sさんのようにテーマに合わせて活かすと、デッドスペースになりそうな場所もお気に入りになりますね。
大幅な位置移動で生まれ変わったキッチン
躯体現し・オールステンレスキッチン・あえてのダクト見せは、インダストリアルスタイルで人気の組み合わせです。リビングの引き戸もアルミ質の化粧板を採用しました。
キッチンのこだわりは?
「最初に決めたテーマに基づいて、オールステンレスでかっこよくしようと決めていました。料理が好きなので、IHではなく火力が出るガスコンロに。コンロ前には油はね対策として、仕切りを設置しました」
こちらのキッチンはサンワカンパニーの「グラッド45」。インダストリアルスタイルにしたい方や料理好きな方に人気のシリーズです。存在感抜群のオールステンレスキッチンは、周りの収納をすっきりとさせると○。収納は背面など一箇所にまとめるとすっきりとして、キッチン自体の魅力が際立ちます。
キッチンは大幅な位置移動をしたと聞きましたが、配管など特に問題なかったですか?
「元のキッチンは今のダイニングにあって、個室で壁付けでした。リビング全体を見渡せる対面式にするには、配管の位置の関係でキッチンだけ段差をつけるかもしれないと言われました。でも、結果的にはフラットなまま。床全体を上げたので段差にせずに済みました」
このように床全体を上げれば、段差にしなくても済む場合があります。床を上げた分、天井高が低くなるのを避けたい場合は、Sさんのように躯体現しにしたり、ギリギリまで高さを上げたりすれば、高さのバランスがとれて圧迫感が出ません。
見た目・機能性を兼ね備えた靴収納
床まであえて棚板をつけない靴収納は、まるで宙に浮いているよう。間接照明のやさしい光が、オシャレな印象をプラスします。
LDKの入り口の扉は、戸袋式引き込み戸を採用。戸は開けると壁に全て収まる仕様で、生活感を感じさせたくない方や、開けたときの扉を完全に隠したい方に人気です。
玄関の靴収納がショップのようでかっこいいですね。
「ディスプレイみたいに収納したくて、見えるように造ってもらいました。でも、あれでもまだ持っているうちの一部(笑)。靴が好きでまだまだあるんです。高価な靴や普段履かない靴は、WICに収納しています」
近年の靴収納は、こういったオープンタイプが人気です。見えるからこそキレイに置くようになるのがオープンタイプの良いところ。通気性も良く、ワンアクションで取り出せる利点もあります。
和の雰囲気が漂う小上がりワークスペース
玄関の真正面にある小上がりはワークスペースです。以前は玄関前に収納と和室がありましたが、どちらも取り壊してこちらのワークスペースとWICを造りました。
ワークスペースは掘りごたつのように足を入れられるようになっています。間接照明と畳で、LDKとはガラリと違う和テイストの心落ち着く空間を演出。畳なので、仕事の合間にゴロッとしたいときにぴったりです。
こうやって、LDKとはまた違う雰囲気の空間があると、自宅にいながらもふとどこかへ旅したような気分にもなりますね。
湿気も気にならない広々WIC
WICも広くしたようですね。
「WICも絶対に欲しかったものの一つ。玄関に置いていない靴や洋服、スーツケース3個を全部収納できるように広くしてもらいました。普段生活するリビングや寝室に収納を造りたくなかったので、ここに全部収めています」
WICは、玄関を右に曲がって正面にある洗面室を通って入るようにしています。洗面室からすぐに行けるので、身支度も時短になりますね。
ワークスペースとの仕切りは、寝室と同様の木製ルーバーに。ワークスペースからの明かりを取り込めるので、WIC内がより明るくなります。通気性も良いので湿気対策にも。奥まった場所にあっても、ワークスペースが見えるので閉塞感がありません。
黒をアクセントにした洗面室・浴室・トイレ
洗面室と浴室、トイレもテーマに合わせたクールな空間に。グレーを基調に、アクセントカラーに黒をイン。洗面ボウルやそれぞれの水栓、浴槽を黒で統一しました。こちらでも雰囲気作りに欠かせないのが間接照明。まるでホテルのような、シックで落ちついた空間になりました。
トイレの手洗い機もかっこいいですね。
「これはイタリアから取り寄せました。コロナ禍だったこともあり、届いたのは6月、取り付けられたのは7月です。輸入品は時間がかかるけど、絶対にこれが欲しかったので待ちました」
リノベーションで困ったこと
着工してから困ったことはありましたか?
「結果的には問題なかったのですが、最初はリビングの壁を躯体現しにして、天井を白くしたかったんですけど、壁を壊してみたら状態が悪かったので出来ませんでした。モルタルを塗ろうかと考えましたが、予算オーバーに。そこで、壁を白い化粧ボードにして、天井を躯体現しに変更しました。結果的にはこちらにして良かったです。日当たりの良さに加えて、白壁で室内全体がより明るくなったので気に入っています」
これからリノベーションをする方に向けてメッセージ
最後にSさんからメッセージをいただきました。
「最初はコストを考えすぎないほうがいいと思います。まずは自分がやりたいことを考えて、全部の金額を算出してからコストダウンしていくのがいいかと。そうしたほうが、理想の家ができるんじゃないかと思います。全部希望を出してから、ギリギリまでできる術を考えて、それでもできない場合は妥協する。そのほうが諦めもつくし、納得した家づくりができると思います」
まとめ
今回のリノベーションのポイントを見ていきましょう。
1、開放感を保ちつつ、たっぷりと光を取り込む木製ルーバー
一つの空間内に造った寝室の仕切りは、木製ルーバーにしました。空間全体の開放感はそのままに、仕切りとしての役割もちゃんと果たしてくれます。寝室側の窓からの光も取り込めるので、空間全体が明るくなります。通気性も抜群なので、WICとワークスペースの仕切りのように、湿気が気になる部分に取り入れるのもオススメです。
2、予算内でインダストリアルスタイルを叶える優秀建材・フロアタイル
LDK・寝室・WIC・トイレ・洗面室の床は、モルタルに見えるフロアタイルを採用しました。インダストリアルスタイルに欠かせないモルタルですが、全てをモルタルにすると予算オーバーしてしまう場合は、このようにモルタルに見えるフロアタイルを採用すると予算内に収まりやすくなります。また、モルタルの経年変化のヒビ割れが気になる方にもぴったりです。
3、ベンチにもなる造作棚
ちょっと腰掛けるところが欲しい方にオススメなのが、ベンチ兼収納の造作棚です。一つで二役なので、省スペース化にもなります。今回の場合は、物件に元からある出窓を活かし、これを造ったことで憩いの場が生まれました。自分好みにするだけでなく、元からある設備や空間をうまく使ってデッドスペースを生み出さないことができるのも、リノベーションの魅力です。
4、開けたときの美観を保つ戸袋式引き込み戸
リノベーションで人気の引き戸が、戸袋式引き込み戸です。開けると引き戸が壁の中にすっぽりと収まるので、見た目にもキレイで生活感を感じさせません。開けたときの美観にも考慮した引き戸です。
5、小上がりで違った雰囲気を楽しもう
Sさん宅ではワークスペースに用いられた小上がり。最近では、リビング内に和室スペースとして小上がりを造る方も増えています。段差によって、同じ空間にいながら違った雰囲気を味わえるのが小上がりの魅力です。和室が欲しいけど広さ的に難しい場合は、小上がりを取り入れるのがオススメです。
6、間接照明でムーディーな空間に
至る所に設置された間接照明が、各箇所に柔らかさとシックな雰囲気を醸し出していました。壁に反射したり、下から照らしたりなど、光の照らし方によってさまざまな表情を生み出すことができます。照明は空間の印象作りに欠かせません。何か物足りないと思ったときに、すぐに取り入れられるのが照明の良さです。
以上のポイントによって、Sさんは理想の家を実現しました。ちょっとしたアイテムやアイディアで家づくりも大きく変わります。これからリノベーションをする方はぜひ参考にしてみてくださいね。
間取りBefore/After
Before
After