リノベのハウツー
2020.06.29
気になる金利を計算してみた〜金利はどれだけ影響するのか?
住宅ローンを借り入れるなら、できる限り返済額は少なくしたいものですよね。住宅ローンの返済額に大きな影響を与えるのが金利です。しかし、金利の影響がイメージしづらい、という人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、低金利時・高金利時それぞれで金利や返済額を大まかに計算。金利が与える影響を検証していきたいと思います。
固定金利と変動金利
金利の影響を計算する前提として、金利タイプを理解しておく必要があります。住宅ローンの金利タイプは、固定金利型・変動金利型・固定金利選択型の3種類。それぞれの特徴は次の通りです。
●固定金利型 :返済期間中の金利が固定されているタイプ。低金利時に借りると、返済途中で
金利が上昇しても、返済額が変わらない点がメリット。リスクが低い分、
借入当初の金利設定は高め。
●変動金利型 :返済期間中の金利が、市中金利の上下に合わせて変動するタイプ。市中金利が
下がれば返済額も少なくなる点がメリット。リスクが高い分、借入当初の
金利設定は低め。
●固定金利選択型:一定の特約期間中は固定金利が適用され、特約期間終了後にあらためて
固定金利・変動金利を選択できるタイプ。
上記からわかる通り、変動金利型・固定金利選択型は、市中金利の状況によって最終的な返済額が変動する点が特徴。そのため、今回の返済額シミュレーションでは、固定金利型で借り入れることを想定します。
返済タイプによっても変わる
金利タイプと合わせて重要なのが、住宅ローンの返済タイプ。返済タイプには、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。それぞれを図で表すと、次の通りです。
元利均等返済は、返済期間を通じて毎月の返済額が一定です。ただし、返済額に占める利息部分と元金部分(借入額元本の返済に充てられる金額)の割合は、時期によって変動。返済期間が進むほど、元金部分の割合が大きくなります。
対する元金均等返済は、返済期間を通じて元金部分の返済額が一定です。借入残高に対してかかる利息部分は、返済期間が進むにつれて少なくなっていきます。そのため、毎月の返済額も返済期間が進むほど少なくなるのが特徴。借入当初の月返済額は、元利均等返済より高くなります。
低金利時でシミュレーション
住宅ローンの金利タイプ・返済タイプについて確認したところで、いよいよ返済額をシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションにあたっては、次のような住宅ローンを想定するものとします。
●借入額 :3,000万円
●借入期間 :35年
●金利タイプ:固定金利型
まず、こういったローンを低金利時に借りるとどうなるのか見てみましょう。
低金利時・元利均等返済の場合
低金利時ということで、金利は1.0%に設定。元利均等返済で借り入れるとした場合、毎月の返済額や総返済額は次のように計算できます。
●毎月の返済額:約8.47万円
●総返済額 :約3,557万円
●利息相当額 :約557万円
低金利時・元金均等返済の場合
次に、金利1.0%時に元金均等返済で借り入れるとした場合の計算結果をご紹介します。
●借入当初の月返済額:約9.64万円
●17年目末の月返済額:約8.43万円
●35年目末の月返済額:約7.14万円
●総返済額 :約3,524万円
●利息相当額 :約524万円
低金利時の特徴
低金利時において元利均等返済と元金均等返済を比較すると、総返済額で約33万円の差があることがわかります。また、当初の月返済額では、元金均等返済が元利均等返済よりも約1.17万円高く、借入当初の経済負担が大。その後、17年目あたりで元金均等返済<元利均等返済に逆転します。
こうした特徴が、高金利時にどうなるか注目してください。
高金利時でシミュレーション
続いては、高金利時において同様の計算をしてみましょう。高金利時のシミュレーションでは、金利を5.0%と仮定します。
高金利時・元利均等返済の場合
金利5.0%の状況下、元利均等返済で借り入れる場合、毎月の返済額や総返済額は次のようになります。
●毎月の返済額:約15.14万円
●総返済額 :約6,359万円
●利息相当額 :約1,359万円
高金利時・元金均等返済の場合
一方、同じ金利5.0%の状況下、元金均等返済で借り入れる場合の計算結果は次の通りです。
●借入当初の月返済額:約19.61万円
●17年目末の月返済額:約13.57万円
●35年目末の月返済額:約7.14万円
●総返済額 :約5,619万円
●利息相当額 :約619万円
高金利時の特徴
高金利時において元利均等返済と元金均等返済を比較すると、その差は歴然。元利均等返済は総返済額が約740万円も高くなっています。
これは、金利が高いと利息部分の金額が大きくなるためです。元利均等返済では、元金部分の減少ペースが遅いため、余計に利息がかかります。よって、金利が高ければ高いほど、元金均等返済の優位性が高まるというわけなのです。
また、低金利時と比較すると、元利均等返済で約802万円・元金均等返済で約95万円、総返済額が増加しています。このように金利が数%上昇するだけで、最終的な返済額に大きく影響するのです。
今回は、低金利時・高金利時それぞれで住宅ローンの返済額を計算してきました。金利の変動が住宅ローンの返済額に大きな影響を及ぼす、ということがおわかりいただけたのでないでしょうか。
住宅ローンの借り入れを検討する際には、金利の動向を把握するよう心がけましょう。