リノベのハウツー
2020.05.24
金利の推移から見る住宅ローンの特徴とは?
住宅ローンは借入金が大きく返済期間も長いため、例え0.1%分の金利差であっても数十年後には、百万円単位での差が出てくることもしばしばです。
今回の記事では、過去数十年間における住宅ローン金利の推移から、住宅ローンの「借り時」について解説していきます。
住宅ローン金利はどのように決まるの?
住宅ローンを一旦組むことになれば、長い返済期間の間ずっと金利と向き合うことになります。そこで金利と上手に付き合うために、まずは住宅ローンの金利は誰がどのようにして決めるのか知る必要があるでしょう。特に変動金利を選んだ場合には、適用される金利は半年ごとに更新されますから、金利の情報を定期的にチェックしておくことも大切です。
住宅ローン金利は銀行の銀行である日本銀行の動向を見て民間金融機関が決めるわけですが、実は変動金利型住宅ローンと固定金利型住宅ローンでそれぞれ金利の決め方が違います。
変動金利の決め方
変動金利は「短期プライムレート(短プラ)」と呼ばれる、銀行が最優良企業に貸し出す際の1年以内の最優遇貸出金利と連動します。短プラは日本銀行の政策金利によって決められますので、変動金利は日本銀行の政策によって決まると言えます。
例えば、景気が良くなれば日本銀行は金利を上げようとしますから、変動金利も連動して上がります。逆もまたしかりです。言い換えれば、変動金利は経済の実態に応じてその都度変動すると覚えておきましょう。
固定金利の決め方
固定金利には「全期間固定金利型」と「固定金利特約型」とがありますが、この2種類とも10年国債の金利と連動します。固定金利特約型には3年や5年などの10年よりも短いスパンのものもありますが、基本的には10年国債の金利をベースに設定されています。
10年国債の金利は、あくまで実態を先取りした予測として動くため、固定金利が変動金利を先行して動くことが多いようです。厳密には3年や5年スパンの固定金利特約型は「金利スワップレート」という仕組みによって動きますが、金利スワップレートは10年国債の動きに連動しますので、固定金利は10年国債と連動すると言えるでしょう。
住宅ローン金利の傾向
住宅ローン金利は1980年代のバブルがはじけて大幅に下落して以降、緩やかに下落して1%を切るほどの稀に見る低水準となっています。具体的な数字を挙げると、変動金利で0.4%~0.6%台、固定金利特約型で0.6%~0.9%台、全期間固定金利型でも1%台前半からと、借り手有利の状態が続いています。
金利が0%以下になることはありませんから、1%を切る金利は相当低い水準であると見られています。
ただし、金利タイプ別推移については、変動金利と固定金利で若干の違いが出ています。変動金利に関しては、直近の8年間はほぼ横ばいでほとんど動きがありません。これに対して固定金利は徐々に下落している状況です。各金融機関とも固定金利に関しては積極的に引き下げを行っているようです。
特に衝撃なのは「全期間固定型」が2%台を切っているということで、代表的な商品である「フラット35」について、1%前半という驚きの低金利で提供している金融機関も出現しています。
フラット35に関しては、2013年時点ではまだ2%台をキープしていましたから、その頃から金利水準が半減したということです。単純に計算しても今申し込めば、2013年時点で申し込んだ分よりも半分の利子で済むのですから驚きですね。
変動金利?それとも固定金利?
住宅ローンを選ぶ際には通らなければならない金利タイプの選択ですが、変動金利か固定金利かで必ず迷うものです。
金利は下落基調で動いてきましたし、目下のところ金利が急上昇するような目立った材料もありませんので、最も優遇率の高い変動金利を選ぶのが当然の成り行きのように思えます。
そのことを反映してか、最近の傾向としては住宅ローンを組む人の半数以上が変動金利を選んでいるようです。
しかし、固定金利型住宅ローンには市況に左右されないという変動金利型にはない強みがあるほか、返済の見通しが立てやすいという魅力もあります。
これに加え、「フラット35」のような全期間固定金利型には、省エネ住宅などの高機能住宅に対して一定期間の金利優遇措置が設けられるなど、個々のクライアントのニーズに対応した様々なサービスが付随しています。
金利タイプの選択は、目先の金利の高低にとらわれることなく、返済期間やサービス内容などもしっかり吟味しつつ、自分に合った金利タイプを選ぶことが大切でしょう。
まとめ
ここ数年の住宅ローン金利の推移は下落基調にあり、そのことを反映してか変動金利型住宅ローンを選択する人が半数以上にのぼります。
しかしながら、固定金利にも変動金利にはない利点やサービスが充実していることから、必ずしも変動金利が有利とは限りません。
目先の金利の高低にとらわれることなく、自分に合った金利タイプを選べるよう、個々の商品やサービス内容をしっかり吟味することが肝心です。