リノベのハウツー
2020.05.16
変動型住宅ローンの金利、今後はどうなる?
「住宅ローンの金利はどのタイプを選ぼうか?」
そんな場合に目をひくのは変動型の金利の低さです。一方で気になるのは「変動」というところ。将来的に金利が上がるんじゃないか?という不安もありますから迷ってしまうことでしょう。今後、変動金利がどうなるのかわかればいいのですが。
ここでは、住宅ローンの変動金利が今後どうなるかを、一枚のグラフから考えていきます。ただ飽くまでも「考える」だけです。予想ではないこと、予想なんてできるはずがないことをあらかじめお断りしてから、さあ!始めましょう。
低く設定されている変動型住宅ローン 今後の金利は?
※ 主要都市銀行のHP等により集計した金利(中央値)を掲載。なお、変動金利は昭和59年以降、固定金利期間選択型(3年)の金利は平成7年以降、固定金利期間選択型(10年)の金利は平成9年以降のデータを掲載。
※ このグラフは過去の住宅ローン金利の推移を示したものであり、将来の金利動向を約束あるいは予測するものではありません。
(参考: 住宅金融支援機構 民間金融機関の住宅ローン金利推移 / 変動金利等)
変動と固定、固定金利期間選択の3種類がある住宅ローンですが、金利が低いのは変動型です。上のグラフでも10年固定型と変動型の金利の中央値は、それぞれ3.150%/年と2.475%/年。年間0.675%低く設定されているのです。
・0.675%/年の差は大きいのか小さいのか?
・変動金利にリスクはあるのか?
・起こりうるリスクはどの程度?
・みんなは変動金利型ローンをどう考えている?
ここでは以上のことについて考えていきましょう。
0.675%の差は大きい?それとも小さい?
1,000万円を10年間で返済するとして、0.675%の金利は34万4,000円の差となります。3,000万円を30年間で返済するなら差は約315万円の差、これをどう考えるのか?月々の支払いに直すと1,000万円を10年なら3,000円、3,000万円を30年なら9,000円ほどの差です。この金額の差をどう考えるか?
低い金利に隠されたリスクとは?<
しかし変動型住宅ローンには、金利が上がるかもしれないというリスクがあります。上のグラフを見ると金利が過去最高を記録したのは平成2年、実に8.5%/年という高金利でした。ということは、現在の固定型の金利もこの水準まで上がるかもしれない。6%上がったなら1,000万円を10年返済で考えても、返済額は332万円以上も増えてしまうのです。
どの程度のリスクが起こりうるのか?
6%の金利上昇という例えは極端すぎる、という声もありそうです。上のグラフでも金利が急上昇したのは昭和62年から平成3年にかけてですが、この時ですら4.9%から8.5%。4年間で3.6%しか(「も」でしょうか?)上がっていないのです。
加えて変動型の住宅ローンには「5年ルール」と「125%ルール」が定められています。これは金利が上がったとしても5年間は返済額が変わらずアップする上限は25%という決まり。10万円/月の返済なら金利が見直されるのは5年後ですし、どれだけ金利が上がっても12万5,000円/月より返済額は上がることはないのです。
変動金利を選ぶ方は60%以上
住宅ローンを組む際に変動金利を選ぶ方の割合は、「住宅金融支援機構」のデータによると60%以上となっています。つまり半分以上の方が「今後も住宅ローンの金利は低いままと考えている」もしくは「高くなったとしても知れている」と考えられるでしょう。
なぜ銀行は変動型住宅ローンの金利を低く設定するのか?
今までは借りる方の立場で変動型の金利を考えてきましたので、ここからは貸す方の立場で考えていきましょう。なぜ銀行や金融機関は変動型の金利を低く設定するのか?というと、必ず儲かるからです。
・なぜ変動型住宅ローンで銀行は必ず儲かるのか?
・今後の短プラの行方を予想する!
・最近の好景気時に変動型金利は何%だったのか?
ここでは以上のことについて考えていきましょう。
銀行は必ず儲かる!変動型住宅ローン
銀行は人々や企業に貸しているお金(融資)からは金利を取りますし、預かっているお金(預金)には金利を付けます。この金額の差が銀行の儲けになるのですが、融資のすべてを預金でまかなうことはできません。そこで銀行は日本銀行からお金を借りることになりますが、この場合の金利を「短期プライムレート(短プラ)」と呼びます。
そして変動型住宅ローンの金利は短プラに連動しています。短プラに上乗せした金額となっているのです。借りる金額の金利より貸す金利のほうが高くなるように設定されているのですから、変動型住宅ローンには銀行や金融機関のリスクがない、つまり銀行は必ず儲かるのです。実際には5年ルールや125%ルールがありますから「必ず」という訳ではないのですが。
今後の短プラの行方を予想する!
つまり短プラの行方がわかれば、変動型住宅ローンの今後も予想できます。では短プラは何と関係が深いかというと景気の良し悪しです。景気が良すぎて国内の経済に悪影響を及ぼすと判断したならば、日本銀行は短プラを引き上げます。人々や企業が借金をしにくくして、景気に歯止めをかけるのです。
その例が上のグラフの平成3年、住宅ローンの変動金利が8.5%/年に上がった時なのです。
ITバブルの時の変動金利は何%だった?
昭和のバブル期なんで昔のことすぎてよくわからない。そんな方のために比較的最近の好景気、ITバブルの時の変動型の金利は何%だったかを見てみましょう。それは上のグラフの平成20年にある、ちょっとした盛り上がりに現れています。この時でも金利は3%弱、現在の固定型住宅ローンの金利よりも低い利率です。
今後、ITバブルクラスの好景気が来ても変動型住宅ローンの金利の上昇は知れているとも考えられるでしょう。
まとめ
以上、変動型の住宅ローンの金利が今後どうなるか?について考えてきました。結論から言うと今後のことは誰もわかりまん。なぜなら、今後金利が上がるのかどうかを読むことは、景気がどうなるのかと読むことと同じだから。今後の景気など誰もわからないからです。