リノベのハウツー
2020.04.15
手狭になったから増築!その前に費用のことを考えよう
「住んでいる場所は離れたくないけれど、家が手狭」
こんな場合に頭に浮かぶのは増築か改築(建て替え)。増築は改築より費用もかかりませんし工事期間も短くて済むというメリットがあります。しかし、その前に考えたいのは増築が本当に必要かということ。改築より安上りとはいえ、意外なくらい費用がかかってしまうのが増築なのです。
ここではまず、増築をするのに必要な費用についてお話しします。そして増築をするメリット・デメリット、増築をせずに何とか乗り切る方法について考えていきましょう。
坪単価より割高になる増築費用
増築を検討している方にとって一番気になるのは、どれくらい費用がかかるのかでしょう。しかし、これに答えることは簡単ではありません。というのも、どういった目的で何を増築するかによって答えが変わるから。増築の現場ごとにかかる費用はまちまちだからです。
ただ一つ言える確かなことは、増築しようとしている家の坪単価よりも確実に高くなるということです。増築の費用のおおまかなものが知りたければ、増築を依頼しようとしている工務店が坪単価でいくらの家を建てているのかを調べてみましょう。それに増築したい坪数を掛けて、さらに1.5~2倍した金額がおおまかな費用と言われます。
なぜ坪単価が割高になるかというと新築の坪単価は、費用がかかる設備もかからない設備もならした価格を延床面積で割っているから。そして増築する大抵のケースで、必要になるのは費用がかかる設備だからです。増築する箇所の壁を撤去する費用も余計にかかります。
増築で費用がかかる設備とは?
通常の部屋ももちろんなのですが、特に費用がかかるのが「水回り」と「特殊なスペース」そして「二階」です。
水回り
増築して二世帯同居住宅にしようとお考えなら、迷わず別棟を建てることをおすすめします。バスルームやトイレ、キッチンといった水回りがいっぱい。給排水設備から手を入れる必要がありますから、費用も相応にかかるのです。
特殊な住居スペース
防音を備えたオーディオルームを造りたいというのも、相当に贅沢な増築になります。窓や壁に防音の工夫を施さなければいけませんから、通常の坪単価の費用ですむはずがありませんね。
二階を増築する
平屋建ての住宅を二階建てに増築するというのも、平屋部分を補強しなければなりませんし、古い屋根を撤去するのにも大きな費用がかかります。
増築で費用がかからない設備とは?
逆に費用がかからない設備は「人が居住しないスペース」と「躯体(家の骨組)に影響がないスペース」です。
人が居住しないスペース
廊下や階段など人が居住しないスペースは、増築してもそれほど費用がかかりませんから、新築の坪単価と同程度ですむでしょう。また、縁側の増築も居住スペースではないので、同様です。
躯体に影響がないスペース
躯体に手を加えたり壁を撤去する必要のない増築は、それほど費用がかかりません。たとえばベランダを後付けするといった増築は安くすむでしょう。
増築のデメリット
改築よりも費用がかからなかったり、増築工事中も住み続けることができるというのが増築のメリットですが、一方で以下のデメリットも考えられます。
同じ住宅メーカーに依頼した方が無難
昔ながらの木造軸組工法以外、プレハブ構法などで大手住宅メーカーが建てた家の場合、増築は元の家を建てたメーカーに依頼することになるでしょう。理由は構造が独自すぎて、他の工務店では手に負えないケースが多いから。格安だからと言って他の工務店に依頼するのは難しいのです。
従来の部分と増築部分に違和感が出る
何年も経過した住宅に増築部分をつぎ足しますから、どうしても違和感が出ます。防ぐためには継ぎ目になっているスペースも、同時にリフォームするべきでしょう。
これらに加えて、10平方m以上の増築には建築確認申請が必要になり工事に取り掛かるまでに時間がかかるとか、すでにお話しした通り相当高額な費用がかかるというデメリットもあります。
増築を避ける方法はないの?
大きな部屋を区切るとか、小さな部屋をつなげるとか。家族が一人増えたくらいなら増築までしなくても、リフォームやリノベーションで対処できるケースは多々あります。
あわせて考えたいのが、家族が増えた状態がいつまで続くのかということ。いつか独立する可能性があるならば増築まで費用をかけることなく、間取り変更でやり過ごせないか等を考えてみましょう。
まとめ
費用の割にあまりメリットがないのが、一般的な増築ですから、あまりおすすめしたくはありません。一方でおすすめしたいのが費用のかからない増築、すなわちベランダや濡れ縁、ウッドデッキ等の増築です。特徴は非常にコストパフォーマンスが高いこと。洗濯物が干せるなどの実用面ばかりか、子どもを遊ばせるなどの非実用面でも大きなメリットがあるのです。
一方、増築部分がいずれ不要になったというのもよく聞く話。近年では増築同様、居住スペースを減らす「減築」の問い合わせも増えていると聞きます。ですから増築は、慎重に検討されることをおすすめします。また、増築の代わりにリフォームも視野に入れてはいかがでしょうか?