リノベのハウツー
2018.10.08
施工業者泣かせストーリー ~壁式パネル住宅(2×4)の壁に開口を設ける~
住宅のリフォームを行う際に窓や吹き抜けを作りたい為に「開口部」を設けてほしいという要望が良くあります。
その際に、壁式パネル住宅(2×4)での「壁に開口部を設ける」工事は難しい場合があり、要望にお応えすることが出来ないこともしばしば。。。
今回は、そんな壁式パネル住宅(2×4)、でのリフォームについて解説していきます。
ツーバイフォー(2×4)の構造
ツーバイフォーとは、2インチ×4インチの規格化された柱を基本としており、そのパネルで床や壁、屋根などを箱状に組んでいく構造のことを言います。一般的な住宅は軸組工法といって柱で建物の構造が保たれているものです。
ツーバイフォー(2×4)は間取り変更が難しい
ツーバイフォー構造の住宅のメリットとしては
①耐震性・耐風性が高い
②工期が短い
という点があります。
住宅を建てる際にはこういったメリットを重視して購入する方が多いと思いますが、しっかりと把握しておきたいのがデメリット部分です。デメリットとしては以下の2点があります。
①間取りに制限がある
一般的に間取りの変更は、ツーバイフォー構造の場合制限があります。住宅を壁で支える構造なのでどうしても箱型の内部空間にせざるを得ない為、大きなリビングを設けることが難しいのです。
家族が増えたりすることで「子供の部屋を追加したい」という要望で、壁を追加して新たに部屋を増やすことは可能ですが、「壁を取り壊して2つの部屋を1つにしてほしい」といった要望には応えられない場合があるということです。
②壁に開口部が設けにくい
先ほどツーバイフォー構造は柱ではなく壁で建物を支えていると解説しましたが、この時点でお分かりの通り、ツーバイフォー構造では「壁」が構造体となり、その壁に開口部を設けるということは「構造計算が狂うこと」になるのです。
つまり、開口部を大きくとりにくいという欠点があるのです。「壁が取り壊せないならいっそ大きな開口部を設けたい」という要望も難しいのです。
間取りの制限と合わせて考えると、軸組工法よりも自由度は低いと言えます。
ツーバイフォー(2×4)に開口部を設ける際の規制
ツーバイフォー工法で壁に開口部を設ける際の規制は下記の通りです。
「耐力壁線に設ける開口部の幅は4メートル以下とし、かつ、その幅の合計は当該耐力壁線の長さの3/4以下としなければならない」
これについて、解説をしていきます。
「耐力壁線に設ける開口部の幅は4メートル以下とする」
この文章についての解説ですが、「開口幅4m以下」というのは壁の一面にある開口部の幅のことを言います。図のように開口部同士の間に壁が存在する場合は、それぞれを開口部とみなして「開口幅4m以下」とすることが出来ます。
もしも、開口部同士の間に垂れ壁(床まで届いていない壁)がある場合は、開口部2つを1つの開口部として「4m以下」になるようにしなければならない為、小さな開口部しか作ることが出来ません。
次に、「その幅の合計は当該耐力壁線の長さの3/4以下としなければならない」
という文章についての解説ですが、「開口幅の合計は3/4以下」とは開口部の大きさの規定になります。
壁一面の幅を「L」とした場合に、その長さの3/4以下に抑える必要があるということです。
この規制から、軸組工法と違って、壁一面を窓にできないことがお分かり頂けたと思います。
ツーバイフォー構造が分かる業者に依頼する
ツーバイフォー住宅のリフォームは難しいとは言っても不可能では無いのです。
リフォーム業者にはツーバイフォー住宅についてわからない業者もまだまだ多いのですが、それは業者が悪いのではなく、ツーバイフォーの歴史に関係しています。
ツーバイフォー(2×4)工法が生まれたのは、19世紀初めの北米です。当時は、少ない建材で、少ない人員でなんとか住宅ができないか、という発想から考案されたものなのです。この工法では、木造住宅のように職人技を必要としないので合理的な為、日本に広まるようになりました。
ですが、日本に普及したといっても40年程度のことで、まだまだリフォームするほどツーバイフォー住宅がの老朽化が進んでおらず、リフォーム業者も経験が無いのが現状なのです。
だからといって、見積もりの段階で「うちではできません」と言われて諦めてはダメです。
そういったことにならない為には、何社も見積もりや現地での打ち合わせを行って「リフォームしにくいから」と諦めてしまうのではなく、「この家でどのようなリフォームができるのか」としっかり把握することが大切です。
まとめ
ツーバイフォー構造の壁に開口部を設けることは規制があり、なかなか思うような空間ができないかもしれませんが、リフォームを検討する際に、こういった構造を理解して「なにができてなにができないか」を把握することでリフォーム業者ともスムーズに話を進められると思います。