リノベーションのアイテム
2020.12.08
壁の新素材「瓦タイル」 日本の伝統文化をインテリアに【HAGSインタビュー|アイテム】
PickUpアイテム|瓦タイル[soil]
取材協力|株式会社カスコ 柏原氏 杉原氏
なかなか現代で身近に触れることのない「瓦」。
それが、タイルになって登場しました。
屋根としての役目が減ってきた瓦。ただ時代の変化と捉えるだけなく、伝統文化を守りたいという想いと瓦の本来持つ耐久性、デザイン性に着目し、これまでになかった新しい質感のタイルを生み出しました。土の持つあたたかい風合いが魅力の壁材です。
そんな瓦タイルは、どのようにしてインテリア材になったのか、株式会社カスコの柏原さん、杉原さんにお話を伺ってきました。
瓦タイル soil とは…
「瓦タイル」は、土の持つあたたかい風合いが人気で、家の屋内外どちらにも使用できる新しい壁材です。
瓦タイル soil の魅力をお伺いすると、「あえて仕上げていないからこその味わいが良いんです」と柏原さん。表面はあえて粗削りにすることでオーガニックな質感を表現しているそうで、和風建築から現代建築まで幅広い住宅デザインに取り入れやすいことも人気の秘密なんだそう。
また、瓦タイル soil の魅力は、その機能性にもあります。瓦はそもそも断熱性や通気性、調湿性に優れていて、とにかく丈夫!四季のある日本の風土に合わせて、どんな気候でも住環境を守ってくれる機能性だからこそ昔は屋根瓦がよく使われていたんですね。
そして、こっそりと「コストも頑張って抑えています」と柏原さん。確かに瓦と聞くと、お寺やお城に使われていて、ちょっと高級なイメージがありますよね。「いくら瓦がよくても、価格が高すぎるとなかなか使ってもらえない。それでは意味がない!」と製作の工程などを工夫し、一般の家庭でも取り入れやすい値段設定を目指したそうです。
瓦タイル soil へ込めた想い / 誕生秘話
様々な試行錯誤を経て創り上げられた「瓦タイル soil」。そこに込められた想いを伺いました。
柏原さんは、「"瓦の文化"を取り戻したい。このままいくと、日本の大切な伝統や技術が消えていってしまう。」という想いで開発に至ったと言います。
瓦タイル soil は、実は瓦の日本三大産地と言われる淡路島にある、大栄窯業株式会社とのコラボ開発で作られています。「瓦が並ぶ風景の良さを残したい」という想いが合致し、「日本文化に残していくために、どのようにすれば実用的に使いやすく、生活に取り入れてもらいやすいか、考えた結果が"瓦タイル"だったんです。」と柏原さん。
屋根に瓦を使うとなると、雨が降った時の水の通り道を考えるなど、瓦職人の本格的な技術が必要になります。それに対し、タイルとして取り入れた場合、施工に特別な技術を必要としないため、施工業者さんにも使ってもらいやすいことも大きなポイントです。
瓦文化を残していくため、「手軽に生活に取り入れてもらえるように」と施工の過程にまで想いが込められているんですね。
こだわり派におすすめしたい!瓦で楽しむ壁選び
「家の中にアクセントのある場所を作りたい」「自分らしいこだわり感を出したい」
そんなお洒落でこだわり派の方に、ぴったりの壁材ではないでしょうか?
施工事例:外壁
もともと屋根に使われていた瓦ですので、もちろん外壁のアクセントにも活用できます。
瓦タイル soil は、単体であればクールなイメージがありますが、このような温かみのある木材と合わせると、全体を引き締めてくれるアクセントに。
サイズや厚みの異なる瓦を、ランダムに組み合わせているからこそ生まれる陰影がとても素敵です。自然光や影によって変化する壁面の表情も楽しめそうですね。
施工事例:内壁
ぐっとこだわり感を増してくれる瓦タイル soil。部屋の中の一部に使用することで、空間に動きが出ると人気です。
合わせる照明や家具によって、雰囲気の違いを楽しめるので、引っ越しをした後も、模様替えが楽しくなりそうですね。
施工事例:洗面所
実は、洗面所などの水回りにも使える素材なのです。洗面所やお手洗いなど、家のどこか一部に遊びゴコロを表現したい方には、ぴったり!
家族の好みとのバランス調整が難しい方も、「この空間だけは、こだわらせて!」と小さな空間で自分らしさを楽しんでみてはいかがでしょうか。
3種の瓦タイル soil
瓦タイル soil には3種類のラインナップがあります。順番に特徴をご紹介します。
瓦タイル soil フラット
厚みの凸凹感がないフラットタイプ。どんなインテリアにも取り入れやすいタイプですが、特に無骨でクールなテイストでまとめたいときにおすすめです。
瓦タイル soil ランダム
一番人気のランダムタイプ。あえて厚みのちがう瓦を合わせることで、凸凹感を演出しています。素材感があり、動きのある雰囲気を出せると人気なのだそうです。
瓦タイル soil 窯変
最後は、窯変(ようへん)タイプです。
窯変とは窯の内部で作品に生じた色の変化のことです。窯の炎による現象であることから、「火変わり」とも呼ばれます。(陶磁器お役立ち情報「窯変(ようへん)とは」)
趣深い表情のあるタイルですが、これは「粘土を焼くときに、空気の量を調節して窯変の微妙な色味を出すことができる」のだそうです。赤みのある瓦タイルは、なかなか珍しいので部屋に温かみを出したい方や、少し洋風のインテリアに合わせたい方に特におすすめです。
まとめ
今回は、瓦タイル soil の誕生秘話と楽しみ方についてご紹介しました。
「時代にあったカジュアルな形で、"瓦”という日本文化を残していきたい。まずは、選択肢のひとつとして並べられるように頑張っていきたい。」と柏原さんの強い想いを感じる取材でした。
生活に取り入れることで、日本の伝統文化を残すお手伝いができると思うと、なんだか嬉しくなりますよね。
オーガニックな味わいを残しつつ、上品さもあり、ビンテージ感もある。他では表現できない空間作りを楽しみたい方は、瓦タイル soil を取り入れてみてはいかがでしょうか。