今日の季節
日本には、1年を4に分けた四季があります。
さらに24に分けた二十四節気があり、さらに72に分けた七十二候があります。ほぼ5日周期で季節は移ろいでいるのです。
その変化に私たちは気づかずに生きているのかもしれません。
ところが身体と心はそのかすかな変化を感じとり、気づかぬうちにその環境の変化に対応してくれています。
二十四節気と七十二候に心を寄せる時間。
ほんの少し、いかがですか。
9月7日 白露(はくろ)
ようやく残暑が引いてきて、秋らしい気配が空気に加わってきます。
大気は冷えてきて、朝には草花に光って白く見える露が降りる頃です。
2017年9月7日〜11日 草露白し(くさのつゆしろし)
白露と同じ意味合いです。
草に露が降りて、白く光って見える頃です。
朝夕には秋の気配をより感じられる気温になってきます。
この季節の養生
前回、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダの体質診断で“ヴァータ体質”の人は不眠症になる人もいることをお伝えしました。
アーユルヴェーダの3つの体質、ヴァータ・ピッタ・カパですが、それぞれバランスを崩しやすい季節が違います。
ヴァータは、秋〜冬。
ピッタは、夏〜初秋。
カパは、春。
夏は夏で、暑さのために寝苦しく不眠に悩む方もいらっしゃいますが、今のように季節の変わり目も自律神経が乱れやすく睡眠に影響が出る人もいらっしゃいます。
まさに今の季節は、秋なのでヴァータのバランスが乱れやすいですが、夏の影響も残っている今はピッタのバランスも乱れやすいのです。
いずれの体質にせよ、睡眠時にはカパ体質の人のように落ち着いた精神状態になっていたいので、睡眠前には心を落ち着かせたり癒されるゆったりとした時間を持つことが大切です。
また、アーユルヴェーダとヨガは共にインド発祥。姉妹哲学と呼ばれたりするほどの結びつきがあります。
そのため、アーユルヴェーダの考えをヨガに取り入れることで心身の調和をはかることができます。
就寝前に、身体を緩め1日気を張り頑張っていた心を解きほぐすヨガのポーズを1つご紹介します。
<仰向けのがっせきのポーズ>
①仰向けに寝転び、両足は揃えます
②両膝を立てます
③立てた両膝を左右に大きく開き、足裏同士を合わせます
④両腕はバンザイをするような形に頭上に気持ちよく伸ばします
これで完成です。
股関節周りが伸びていることが1番感じられると思いますが、脇腹の伸びや、お腹や胸も心地よく広がっていることを感じられるかと思います。
目は不安でなければ軽く閉じて、目も休めてあげましょう。
この季節のまめ知識
前回の『この季節に楽しみたい自然』のお話で、秋の七草をご紹介させて頂きました。
今回はまめ知識として、その中の1つ“葛(くず)”についてお伝えいたします。
葛と言えばご存知のとおり、葛きりや葛餅などのお菓子や葛根湯の原料です。
葛きりや葛餅は夏のお菓子として有名です。
古くから夏のお菓子として伝わってきたということは、見た目も涼やかですが、葛は体を冷やす作用があるということを人々は知っていたのかもしれません。
“体を冷やす”ということは、葛根湯のように風邪薬として摂取することに違和感を感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
葛根湯の宣伝などで“風邪の引き始めに葛根湯”といったフレーズを見聞きしたこと、一度くらいはどなたもおありだと思います。
まさに葛根湯は風邪の引き始めに使いたいお薬です。
なぜなら葛は汗をかかせて体の余分な熱を取り除く作用があるからです。
つまり、寒気を感じたり鼻水が出てきたりしてるけれど、汗はかいていない状態。そしてまだ無理をすれば仕事もできるくらいに体力のある人に葛根湯は向いています。
逆を言えば、寒気ではなく発熱に苦しんでいる場合や、体力が衰えている人には葛根湯は向いていません。
この季節に買い足したいもの
9月、長月というのは夜がだんだんと長くなる月です。
秋の夜長に、キャンドルの灯りを生活空間に取り入れてみてはいかがでしょう。
キャンドルの灯りをぼーっと眺めているだけでも、心が癒されることは経験的にご存知の方は少なくないはず。
うつ状態や不安を緩和したり悲しみを和らげてくれますし、緊張や怒りなど逆立っている神経を落ち着かせてくれる作用も併せ持っています。
今回の『この季節の養生』でお話しした不眠症にも効果的です。
・『日本人が大切にしたいうつくしい暮らし』井戸理恵子/かんき出版
・『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし〜』白井明大/東邦出版
・『大切にしたいにほんのたしなみ』広田千悦子/Softbank Creative
・『和の暦』堀川波/朝日新聞出版
・『アーユルヴェーダ実践BOOK』上馬場和夫・西川眞知子/地球丸
・『女子漢方』矢久保修嗣・木下優子・上田ゆき子/法研"