お客様インタビュー
2018.08.08
700万円でお洒落にフルリノベ!? 建築のプロだからできた秘訣とは?
施主支給でのリノベーションには、「リーズナブルって本当?」「空間にまとまりがなくなるのでは?」と不安視する声があるのも確かです。
でも、一級建築士をはじめ多くの資格を持つ住まいのゼネラリスト・眞鍋豊洋さんは、そんな声を自邸のリノベで払拭しました。
眞鍋さんが購入したのは、浅草駅から徒歩10分のところにある鉄骨3階建ての物件です。
好立地ではあるものの、約8坪の狭小地に建っていて、しかも築47年の古い倉庫でした。
壁にはあちこち穴があき、鉄骨は錆びだらけ。
床のコンクリートは粉をふき、防水材は異臭を放っていたといいます。
しかし眞鍋さんはこの倉庫を、施主支給分を含めて約700万円でお洒落にフルリノベしたのです。
その秘訣はいったい何なのでしょうか?
ボロボロでもリノベで資産価値をアップ!
眞鍋邸でまず目を引くのが、曲線を描くスチールサッシです。
サッシをリノベーションのポイントと考えて特注したもので、インテリアのアクセントにもなっています。
価格を抑えるため、材料にはスチールパイプを採用しています。
ガス灯のような雰囲気の玄関照明は、古道具屋で見つけたものです。
錆びて使えなくなっていましたが、眞鍋さんがメンテナンスしました。
ポストはイタリアで買ったものです。
今はこんなに素敵ですが、リノベ前は、奥さまがたじろぐほどの状態だったといいます。
屋上に上がる階段の塔屋壁は漏水と刺激臭がひどかったので、防水材での塗装が必要でした。
でも眞鍋さんは、躯体の鉄骨がしっかりとしていることや、倉庫だから階高があってカッコよく変わるのではないかと思いました。
例えば、ダイニングの照明はヨーロッパの工場で使われていたアンティークで、高さは90㎝もあります。
それでも、天井が高いから圧迫感はありません。
ベルギーのアンティークのフックや、ヨーロッパの丸い陶器製のスイッチが個性的な玄関の上は、吹き抜けになっています。
この吹き抜けは、なんと荷物用エレベーターの開口を活用したものです。
倉庫ならではの空間といえますね。
そして、この物件をより安く買ってリノベをすれば、資産形成ができると考えたそうです。
物件価格は当初2,550万円でしたが、買い手が1年以上現れず放置されていたこともあり、最終的には1,700万円で購入できました。
リビングではカッシーナのマラルンガ、木のテーブルや牛の皮の敷物などが独特のインテリアを構成していますが、将来はインテリアごと貸してもいいし、売ってもいいでしょう。
さらに、施主支給で一般的に流通していない建材や家具を使って付加価値をつければ、面白いと思ってくれる人がいるはずです。
では、その施主支給に、何か注意することはないのでしょうか。
施主支給の注意ポイントはココ!
眞鍋さんに聞いた施主支給の注意点は3つです。
【1. 仕様に注意!】
海外の製品、アンティークなどを使いたい場合、照明器具のコンセント、水栓金具のサイズなどが日本とは仕様が異なります。
そのまま使えない場合があるので、事前に確認しましょう。
眞鍋邸のシャワー水栓は海外からネットで取り寄せたものです。
【2. 保証に注意!】
施工後にトラブルがあっても、施工会社に保証をお願いすることは難しくなります。
アフターメンテナンスや保証がどうなっているか、発注する前に必ず確認しましょう。
【3. 人間関係に注意!】
マージンが取れない、納期がバラバラなど、施主支給の多い工事は、施工会社にとって面倒くさいだけの仕事になりかねません。面白がって施工してもらえる関係をつくることが大切です。
眞鍋さんの場合は、旧知の職人が面白がって力を貸してくれたそうです。
キッチンのシンクはIKEA、水栓はネットで購入し、天板はサッシと同じ職人に製作を依頼しました。
もちろん眞鍋さん自身も大奮闘し、ネットのセール品を使ったこの壁のタイルは、自分で貼りました。
建材や家具は安く手に入れる努力も!
洗面台、水栓はIKEAですが、ミラーはアンティークショップで購入しました。
セール時期をチェックしておくなど、建材やアンティーク家具を安く手に入れるための努力も怠らなかったそう。
猫脚のバスタブはネットで探し、約6万円で購入しました。
壁付けの水栓は、ネットでキッチン用として販売されていたものです。
床のイタリア製タイルは、ネットのセールでまとめ買いしたものです。
テーブルは天板を安く買って、脚を取り付けています。
椅子はアンティークショップで1脚ずつ購入し、電車で持ち帰って配送料を節約したそうです。
味のあるアンティークドアの奥が、3階への階段下を利用したトイレです。
トイレの壁を楽しく彩る額は、西荻窪の画材店で安く購入しました。
こうして、ローコストで思い切り個性的な空間をつくり上げた眞鍋さん。
手間と時間をかければ工事費を抑えられることを、実証してみせてくれました。
撮影 中村風詩人