リノベのハウツー
2022.05.06
フルリノベーションとは?費用相場や施工事例、リノベーション会社の選び方を紹介
中古戸建てや中古マンションを購入し、自分の思い通りの住まいへと作り替えるフルリノベーションですが、「リフォームやリノベーションとの違いは?」「フルリノベーションの費用はどれくらいかかる?」など気になる点も多いでしょう。
フルリノベーションは新築住宅を購入するよりも費用を抑え、理想の住まいを手にいれられる手段です。その点メリットも大きいですが、デメリットも存在します。
今回はフルリノベーションの基礎的な解説から費用相場、注意点やリノベーション会社の選び方を解説します。
目次
フルリノベーションとは
画像|vol.72【リノベ|インタビュー】一人暮らし。中古だから叶った都心×角部屋×55m2。緑と光のある暮らし
フルリノベーションとは、住宅の枠組みだけを残して内装を全て解体し、ゼロから空間を設計する改修を指します。枠組みだけを残すことから「スケルトンリノベーション」とも呼ばれます。
戸建ての木造住宅であれば柱と梁の木組みの状態、マンションの場合はコンクリート躯体の状態まで解体し、施工をします。また、給排水管や電気配線といった住宅のインフラ部分の入れ替え等を行えるため、築年数の古い住宅でも安全性や利便性を高められるのが特徴です。
リノベーションとリフォームの違い
リフォームは部分的な改修や、もともとあった状態に「改修」することを指し、
リノベーションは新築時以上の機能を追加する「刷新」を指すことが一般的になっています。
例えば、和式のトイレだけを洋式に変更する場合やヨゴレが目立つようになった壁紙交換などはリフォーム。中古住宅をスケルトンにして、間取りから自分好みに変え、設備や素材なども含め、自分のライフスタイルにあった住宅にすることをリノベーションと言います。
フルリノベーションのメリット・デメリット
フルリノベーションは古い住宅を理想の住まいへ刷新することを指しますが、これにはメリットとデメリットがあります。フルリノベーションを検討している場合は、これらを理解した上で進めるようにしましょう。
◆フルリノベーションのメリット
フルリノベーションのメリットは以下の通りです。
・資産価値が上がり、売却しやすい
・建て替えに比べてコストを抑えられる
・好きな間取り、素材、設備などに変更できる
住宅の見た目や構造まで変えるフルリノベーションを行うことで、建物の価値を底上げし、投資用物件として売り出しやすくすることにつながります。
また、既存の構造を利用するフルリノベーションは建て替えや新築を建てるよりもコストを抑えられます。間取りや素材、設備も自由に決められるため、新築を建てるより低コストで世界に一つだけの住まいが手に入るのは大きなメリットです。
◆フルリノベーションのデメリット
フルリノベーションのデメリットとしては、工期が長いことがあげられます。
フルリノベーションは工期が大体3〜6ヶ月ほどかかります。住んでいる住宅をリノベーションする場合、工事中は仮住まいが必要になりますし、工事が長引けば仮住まいの費用も高くなることも理解しておきましょう。
ただ、リノベーション済みの物件を購入する場合は一般の住宅ローンを組めることや、中古住宅購入とリノベーションを一括で依頼するワンストップ型の場合、リフォーム一体型ローンも選ぶことができるため、コストを抑えるなら選択肢として視野に入れてみてもいいでしょう。
フルリノベーションの費用
フルリノベーションの費用は施工面積(m2)×施工費用で計算します。施工面積やリノベーションで利用する素材、間取りなどで費用が異なるので、費用の幅は広いです。
戸建て住宅は以下のようにさまざまな構造があります。
・木造在来
・2×4(ツーバイフォー)工法
・鉄骨造
・RC造
構造によってもばらつきがありますし、物件の状態やどこまでこだわるのかによって、費用は大きく異なります。施工地域や時期によっても費用が異なる点も理解しておくと良いでしょう。
実際の戸建てリノベーションの事例を2件ご紹介します。
1件目の費用は約1200万円。吹き抜けなどもとの間取りを活かしつつ、自分たちのライフスタイルにあったリノベーションを叶えています。
事例:「vol.69【戸建てリノベ|インタビュー】吹き抜けのあるリビングで、天井にもウッドパネル。木に包まれる暮らし」
2件目の事例費用は約2000万円。生活感を感じさせない一方で、家族がゆっくり過ごせる空間づくりとなっています。
事例:「vol.76【戸建てリノベ|インタビュー】一体感×ホテルライクで贅沢LDKに、それぞれが楽しめつつ家族団欒できる戸建てリノベ」
◆マンションフルリノベーションの費用
こちらも戸建て住宅同様、どこまでこだわるかによって費用が変動します。ただ、戸建て住宅と違い、そこまで複雑な構造をしていないため、施工面積あたりの費用は戸建てに比較して抑えやすい特徴があります。
以下の記事では、事例とあわせて費用を掲載しています。フルリノベーションだけでなく、もとの間取りを活かしつつ部分リノベーションした事例もあるので、参考にしてみてください。
参考
・「リノベーションとは?リフォームとの違いやメリット・デメリット、費用など徹底解説」
・「中古マンションのリノベーション大全!後悔しないために知っておきたいポイントや注意点とは」
戸建てのフルリノベーションの施工事例3つ
ここからは実際に戸建て住宅をフルリノベーションした施工事例を3つご紹介します。フルリノベーションの施工期間や面積等も記載しているので、参考にしてみてください。
平屋建てのヴィンテージ感満載の大人の空間に仕上げた施工事例
間取り 3LDK
工期 3ヶ月
面積 85m2
事例:「平屋建てのヴィンテージ感満載の大人の空間」
縦と横の空間で唯一無二の存在感を出した施工事例
間取り 4SLDK
工期 3ヶ月
面積 109.30m2
建売住宅にはない、縦と横の空間をうまく使った施工事例です。
事例:「"TATE+YOKO"」
築50年の住宅をおしゃれに演出した施工事例
間取り 2LDK
工期 3ヶ月
面積 記載なし
築50年のヴィンテージ感をうまく残したまま、照明や間取りのデザインでおしゃれさを演出しています。
事例:「港川の外人住宅リフォーム」
マンションフルリノベーションの施工事例3つ
続いては、マンションフルリノベーションの施工事例3つを紹介します。
北欧の暮らしをイメージした施工事例
間取り 3LDK→2LDK
工期 2ヶ月
面積 54.86m2
床はパイン材を使用し、家具をブルーアッシュグレーでアクセントをつけ、北欧風の住宅にリノベーションした事例です。
事例:「北欧な暮らし」
中古マンションをフレンチモダン風にリノベーションした施工事例
間取り 2LDK→1LDK+WIC
工期 2ヶ月
面積 58.86m2
クロスやタイル、WICもドレッサーを自分好みのフレンチモダン風デザインにリノベーションした事例です。
事例:「好きに囲まれて」
ヴィンテージカフェ風にリノベーションした施工事例
間取り 2LDK
工期 2ヶ月
面積 65.2m2
無垢材の床と、海外製の輸入クロスを使い、ヴィンテージカフェスタイルを演出した事例です。
中古を買ってリノベーションする流れ
中古を買ってリノベーションを行う方法は以下の2通りがあります。
・不動産会社で中古物件を購入し、リノベーション会社にフルリノベーションを依頼する方法
・物件探しからリノベーションまでリノベーション会社に依頼する方法(ワンストップ型)
最近では、「窓口を一箇所に集約できる」「予算をコントロールしやすい」「リノベーション(リフォーム)一体型住宅ローンを利用できる」などの理由から中古住宅購入とリノベーションを一社で行うワンストップ型を視野に入れる方が増えています。
リノベーション会社と一緒に物件を探すことで理想の家にリノベーションしやすい物件を見つけられます。
例えば、不動産会社で物件を購入する際「リノベーションできますよ」と言われて購入したが、リノベーション会社に依頼すると「この間取りだと水回りの移動ができない」などトラブルになる可能性があります。
ワンストップ型のリノベーションであれば、物件を選ぶときに、理想の間取りにリノベーションできるのか、専門家に判断してもらえるので、後から「間取りを変更できない」などのトラブルが起きにくいといえます。
物件の内覧にもリノベーション会社のスタッフが同行してくれる場合もあり、間取りや水回りの変更が可能かその場で確認できるため安心です。
◆物件探しからリノベーションまで依頼する場合の手順
物件探しからリノベーションまで依頼する場合の手順は以下の通りです。
中古物件購入とリノベーションを別で行う場合と、ワンストップで行う場合のどちらも、依頼の流れは大筋で同じです。
・入居の5~6ヶ月前
【STEP1】会社探し
不動産会社(物件購入のみ)
リノベーション会社(リノベーションのみ)
ワンストップ型(物件購入+リノベーション)のリノベーション会社
・入居の4~5ヶ月前
【STEP2】中古物件探し
希望にあった物件を探す
【STEP3】リフォームローンの事前審査
リフォームローンの借り入れ申請を行う
・入居の3~4ヶ月前
【STEP4】契約
リフォームローンが通ったら物件の購入申し込みを行う
この時、仮押さえという扱いになり、キャンセルも可能
【STEP5】リノベーションのプランニングを行う
リノベーション会社と理想の家をつくるためのすり合わせを行う
【STEP6】工事のスケジュールチェックと仮住まいの契約
フルリノベーションは施工期間が2ヶ月〜4ヶ月かかるため、工事のスケジュールがわかったらすぐに仮住まいを契約する
・入居の1~2ヶ月前
【STEP7】工事の進捗チェック
追加工事の有無や中古住宅ならではの問題がないか、週に一回程度で工事の進捗チェックを行う
【STEP8】引っ越し
仮住まいの解約準備(1ヶ月以上前にやっておくのが望ましい)と引っ越し準備を行う
フルリノベーションは工事前の準備に3ヶ月程度、工事に2〜4ヶ月ほどかかるため余裕をもったスケジューリングが大切です。
フルリノベーションする際に押さえておくべき注意点
フルリノベーションを行う前に、以下の注意点を必ず押さえておきましょう。
・間取りの変更には限界がある
・団地や・マンション等は事前に管理組合に申請しておく
・リフォーム補助金の申請は工事前に行う
1つ目の注意点はフルリノベーションは構造壁と枠組みを残して工事を行うため、間取りの変更には限界がある、という点です。構造壁や枠組みが邪魔になり、希望の空間が叶わない場合もあるので注意しましょう。
2つ目の注意点は団地やマンションはフルリノベーションを行う前に管理組合に申請する必要があることです。たとえ専有部分の工事であっても許可なく工事することは許されません。トラブルの元にもなるので、かならず管理組合、もしくは団地・マンションを管理している会社に確認しましょう。
最後はリフォーム補助金の申請は工事前に行う必要がある点です。リフォーム補助金は以下のような目的でリフォーム、リノベーションを行う場合に補助金がもらえる制度です。
・介護、バリアフリー
・エコ、省エネ
・耐震性の確保
・在宅勤務やウイルス対策
制度にもよりますが、基本的に工事前の申請が必要です。詳しくは自治体ごとのホームページでリフォーム補助金について調べてみてください。
参考:フルリフォームとは|フルリフォームの基本知識と依頼する際の注意点
フルリノベーションを依頼する会社の選び方
フルリノベーションを依頼する会社は基本的にインターネットで検索しますが、会社選びで失敗しないために、チェックしておきたい項目には以下のようなものがあります。
・ワンストップでやってくれるか
・定額制リノベーションを提供しているか
物件選びから工事までを行うワンストップ型のリノベーション会社があります。工事のトラブルが起きた場合の責任の所在が明確なことや、叶えたい空間を前提とした物件探しを行うため要望通りの住宅に仕上がりやすいというメリットがあります。
一体型ローンを使うことができれば、不動産のローンとリノベーションのローンを個別で設定する必要もありません。
定額制リノベーションを提供しているかも確認したいポイントです。定額制リノベーションとは前述した施工面積×施工費用でリノベーション費用を計算する方法で、
施工面積で費用が決定するために、見積もりと大きく異なる費用を請求されることはありません。
リノベーションを依頼する会社を選ぶ際は上記2点も判断基準として頭に入れておくと良いでしょう。
参考:「フルリノベーションの事例と費用が知りたい!メリットとデメリットも」
まとめ
この記事では、フルリノベーションについて解説しました。フルリノベーションは、新築や建て替えを行うよりも一般的には低コストで理想の家を手に入れることができる手段です。
費用や施工事例、注意点など、この記事を読めばフルリノベーションの全体像を理解できますので、困った時には読み返してみてください。