リノベのハウツー
2020.05.07
長期住宅ローンの魅力~35年固定金利とは?
高額である住宅ローンの金利は安いに越したことはありませんが、返済期間が長ければ長いほど金利は高くなる傾向にあります。新築購入や中古物件を購入してからのリノベーションでなければ、返済期間が長期に及ぶ例はあまりありません。早めに返せるなら早めに返しましょう、というのが住宅ローンを借り入れる上での鉄則です。従って、現在では金利上昇のリスクは伴うものの、最も優遇率の高い変動金利型住宅ローンを選ぶ人が過半数を占めます。
ところが最近の傾向としては、変動金利にほとんど動きはない反面、各金融機関とも固定金利を引き下げることが増えています。20年以上の長期固定金利でさえ、今ではここ8年の間に2%台から1%台前半にまで引き下げられています。そこで今回の記事では、固定金利型住宅ローンの中でも、フラット35に焦点を当てて解説していきます。
半官半民型ローン「フラット35」とは?
「フラット35」とは、独立行政法人である住宅金融支援機構と民間の金融機関が協働して提供する商品で、固定金利型住宅ローンの中でも返済期間が長期に及ぶものを取り扱っています。全期間固定金利であることが最大の特徴で、最長35年もの返済期間を設定することも可能です。賃貸を目的とするなど投資用物件以外の新築建設用や新築・中古購入用などの資金に利用できます。
「フラット35」の利点は何といっても全期間固定金利であることです。つまり一旦借りれば、返済期間中の金利は変動しないということを意味します。市場の影響により金利が上昇した場合でも、「フラット35」を利用して借りている住宅ローンの金利が変わることはありません。借入時より変わることがないため、返済計画を立てやすいのも魅力の一つです。その代わりに借入時の金利が変動金利型住宅ローンよりも高めに設定されているほか、金利が下がった場合にはその恩恵を受けられないというデメリットもあります。
借入期間は15年以上が条件ですが、公的機関である住宅金融支援機構が介入している形となっているため、民間金融機関にとっては貸し倒れのリスクが低く、審査は甘めで自営業者などの個人事業主でも借りやすいといった特徴もあります。
なぜ今「フラット35」が注目されているの?
住宅ローンを利用する人の過半数は変動金利を選んでいる状況の中、全金利固定型の「フラット35」はその次に人気のある商品として注目されています。金利が高い分、「フラット35」にはそれだけ充実したサービスが盛り込まれているためです。
「フラット35」の特徴は全期間固定金利であることのみならず、保証人や繰上返済手数料が不要であること、省エネルギーや耐震機能、バリアフリーといった質の高い機能が充実した住宅に対しては金利を引き下げる優遇制度「フラット35S」があること、子育て支援型や地域活性型など目的に応じた多彩なメニューがあることも大きな魅力です。例えば、「フラット35」を利用して子育て支援型住宅を購入した場合に、補助金制度とセットで一定期間金利が引き下げられるなどの優遇を受けることができます。
このように幅広いオプションや特約など、各家庭のニーズに応じた住宅ローンを選べるため、金利が高めであるにもかかわらず「フラット35」には人気があります。さらに長期優良住宅を取得するのであれば、「フラット35」のみならず最長50年借りられる「フラット50」という制度もあります。
「フラット35」を利用するなら今がチャンス!
金利水準が最も低いことで人気のある変動金利型住宅ローンですが、変動金利に関してはここ数年でほとんど動きがありません。その反面、固定金利に関しては各金融機関とも頻繁に金利引き下げを行っており、「フラット35」についても一昔前までは考えられなかった1%台前半をマークするようになりました。
「フラット35S」に至っては、一定期間(例えば当初借入から10年間など)1%を切る金利で提供している金融機関も増えてきています。日本銀行のマイナス金利政策により、銀行各社は積極的な貸付を行っているのが背景にあると言われています。
このように金利が高めである「フラット35」でさえも、現在は稀に見る低金利で推移しており、変動金利との差も徐々に縮まってきています。これに加え、全期間固定金利であることや、省エネルギー施工やバリアフリー、子育てに優しいなどの優良住宅であれば金利の優遇が受けられることを踏まえれば、「フラット35」は変動金利をしのぐ魅力を備えた商品とも言えます。
住宅ローンを検討する際には、金利の低さだけに注目するのではなく、これらに付随するサービスについても深く吟味し自分に合った商品を選ぶことが大切です。
まとめ
金利の低さから変動金利に人気が集まっている住宅ローンですが、固定金利には変動金利にはない利点があります。
特に今注目されている「フラット35」は、全期間固定金利であるほか、優良住宅に対しては一定期間の金利引き下げによる優遇制度があるなど、変動金利に勝るとも劣らないサービスも充実しています。
住宅ローンを検討する際には、目先の利率にとらわれることなく、長期的な視野に立って自分に合った商品を選ぶことが何よりも大切でしょう。