リノベのハウツー
2020.05.25
住宅ローンを組む人は増えているの?データで見る推移
住宅ローンに関しては、稀に見る低金利が続く日本ですが、一昔前よりもお金が借りやすくなってきているのは周知のとおりです。
特に2016年以降の日本銀行によるマイナス金利政策の実行により、ローンを組むこと自体のハードルも昔と比較してかなり低くなっています。
とは言え、いくら低金利といっても高額なローンには高額な利息がつきもの。
この記事では、過去と現代における住宅ローンの推移を挙げながら、本当に必要となるリノベーションにかかる費用を考察していきます。
銀行の新規貸出額増加と住宅ローン
今回参照するのは国土交通省住宅局が発行している「平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」です。この資料は市場における住宅ローンの供給状況を把握するために毎年国交省が実施している住宅ローン調査を取りまとめた報告書です。調査対象は住宅ローンを供給している民間金融機関とのこと。
これによると平成29年度における銀行からの新規貸出額は、19兆2875億円とのことで対前年度比4.7%増加しているとのことです。やはり史上稀に見る低金利が影響しているのでしょうか、新規貸出額は増加傾向にあります。さらに興味深いことに、2014年から2017年における過去4年間の推移を見ると、2015年の新規貸出額が最も低く2016年に入ってから再び増加傾向に転じている模様です。
2016年と言えば、日本銀行がマイナス金利政策を導入し始めた年。やはりこの年を境に銀行からの貸出額が増えているということなのでしょう。低金利と日銀の政策により、住宅ローンを借りる人が増えていると言えるでしょう。
(参考: 国土交通省 平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書)
住宅ローンの使途別では「新築購入」の割合が圧倒的
平成29年度の新規貸出額を使途別に見てみると、新築住宅向けが69%と中古住宅向けの18.4%を大きく上回っています。これに続いて借換え目的が12.6%といった状況です。住宅ローンに関しては経年で見ても新築の割合が大きいのが日本の特徴と言えます。
新築物件の方が中古物件よりも高額だからというのが一つの理由かもしれません。あるいは、これだけ時代はシェアリングエコノミーになりつつあるとは言いいながら、住宅に関してはやはり新築神話が根強く残っているとの見方もできます。
ただ、経年的に見ると中古住宅の割合も増えているようで、新規貸出額の約2割近くが中古住宅向けのローンになっています。最近では安く購入できる中古物件を選んだ後に、リノベーションで自分自身が好きなようにカスタマイズする人も増えていることが背景にあるようです。
借換えに関しては、2016年にその割合が25.3%にまで上りましたが、平成29年度では12.6%にまで落ち着いており、一定数の借換えが2016年に盛んに行われたということなのでしょう。
やはり変動金利タイプ住宅ローンが人気!
金利タイプ別に見た住宅ローンの実績では、平成29年度においても「変動金利型」の割合が最も多く、半数以上の50.7%を占めています。これに続いて「固定金利期間選択型」が31.2%とその割合は前年度よりも増加しています。一方でフラット35をはじめとする「全期間固定型」は6.2%にとどまっている傾向です。
「変動金利型」に根強い人気があるのは、やはりここ数年における低金利の影響でしょう。金利は変動すると言いながらも、ここ数年に目立って上昇する動きは起きていませんから、最も優遇率の高い変動金利を選ぶ人が多いのは納得です。
一方で「固定金利期間選択型」については、10年ものの割合が最も多いようです。「固定金利期間選択型」の金利は10年国債と連動するというのが一つの見方ですが、リノベーションなど10年程度の返済期間である住宅ローンを借りる人が増えてきているというのも背景にあるようです。
「全期間固定型」は、サービスや優遇制度が充実しているとはいえ、やはり金利の高さがネックになっているようです。
まとめ
史上稀に見る低金利状態が続いている上、日銀のマイナス金利政策により住宅ローンの新規貸出額は増加基調のようです。
ローンの使途別では高額という理由もあるのでしょうが新築購入が圧倒的。一方で、金利タイプは「変動金利型」を選ぶ人が約半数を占める調査結果も発表されています。
住宅ローンを検討する際の参考になさってください。