リノベのハウツー
2020.04.30
マンションリフォームの最低相場
マンションを選ぶメリットの一つは、建物自体の維持管理を考えずにすむところです。管理費や修繕費積立金を毎月支払っているから当然なのですが、お陰で一戸建てのように外装リフォームの見積を依頼したら、とんでもない価格になったという困りごとがないのです。
マンションのリフォームの相場を考える場合、設備や内装だけですんでしまいます。ここではシステムキッチンやトイレ、ユニットバスなどのリフォームの最低相場を見ていきましょう。ご注意いただきたいのは「最低」であること。最小限のリフォームをするとしたらどれくらいになるか?という目安としてお読みください。
目次
相場検討の前に。マンションリフォームの注意点
外装のリフォームを考えなくて良いところがマンションのメリットの一方で、マンションならではのデメリットもあります。それはエレベーターがないマンションの高い階でのリフォームは工賃が割高になること。新しい設備の搬入、古い設備の搬出にコストがかかるからです。
マンションのリフォームで費用面の注意点はこれくらい。後は一戸建ての設備・内装リフォームと相場は変わりません。以下は最低限のリフォームでかかるであろう相場です。
マンションのシステムキッチンリフォームの最低相場
システムキッチンのリフォームはキッチン本体の入れ替えと内装の手直しでおこなわれます。工期は3〜5日程度、職人さんのスケジュールの都合でもう少しかかるかもしれません。
費用の相場は44万円〜
内訳は本体が21万、工事費用が19万、内装が4万円ほどですが、システムキッチン本体の入替えとパネル2面の張替えで計算しています。キッチン上部にあるキャビネットや換気扇フードをリフォームする価格は入っていません。
工事費用はキッチンの設置に8万円、撤去に4万円、給排水に3万円、電気・ガス工事にそれぞれ2万円として計算しました。
相場で割安感があるのは本体価格でしょうか。
リフォームをおこなう工務店は得意とする設備メーカーを持っている場合が多く、定価を大きく下回る価格で仕入れることもできるのです。海外メーカーのシステムキッチンを入れると非常に割高に感じる理由でもあります。
マンションのトイレリフォーム最低相場
トイレのリフォームは本体の入替えと内装の手直しでおこなわれます。本体の交換だけなら1日もかかりませんから、トイレが使えないという不便も感じないはずです。
費用の相場は12万円〜
内訳は本体が6万、工事費用が3万、内装が3万円ほどが最低相場と言われます。
洋式から洋式へ、工務店が得意としているメーカーから最も安い便器を仕入れて取り付けた場合を想定しています。和式から洋式へのリフォームなど水道工事が入るケースでは、相場はもっと高くなります。
こんな見積りを提出すると「ネットではもっと安く便器を売っているよ」といわれたりもしますが、ご自身で設備を用意する施主支給はあまりおすすめできません。スペースの関係で取り付けられないとか、マンションによっては水圧が低くて取り付けできないなどトラブルが起こりがちだからです。その場合の責任は自分自身。価格差よりリスクの方が大きいと思うのですがいかがでしょうか?
マンションのユニットバスリフォーム最低相場
ユニットバスのリフォームは丸ごと解体し、新しいものを入れる手順になります。工期は3日はかかりますから、その間はスーパー銭湯などを利用して下さい。
費用の相場は65万円〜
内訳は本体が40万円、工事費用が25万円です。工事費用の内訳は古いバスの撤去に6万円、廃棄に3万円、新しいバスの設置に8万円、ドア枠の工事に3万円、給排水に3万円、電気工事に2万円で試算しています。
ユニットバス本体はマンションということでサイズが小さめになりますから、比較的安価で済むでしょう。価格が高くなるのはタイル張りのバスをユニットバスへ変更するリフォーム。タイルの撤去に12万円、廃棄に5万円、基礎工事に4万円はかかってしまうでしょう。
マンションの壁紙リフォーム最低相場
壁紙貼り替えは、賃貸住宅でも退去時に必須のリフォームです。面積が増えるほど価格は上がりますが、平方m当たりの価格は下がっていきます。
費用の相場は1,200円/平方m〜
壁紙の費用と職人さんの工賃を足したものです。壁紙を新しくするなど壁に手を入れることは、リフォームの中でも難易度が低め。クオリティに目をつぶれば、DIYで対応可能になります。おすすめのDIYは狭い面積から始めることですから。壁の一面だけを別のものに貼り替えるアクセントクロスは挑戦する価値があるでしょう。
マンションのフローリングリフォーム最低相場
フローリングを張り替えることもリフォームの基本。大きな面積を占める箇所ですから空間の印象を大きく変えられます。
費用の相場は9,000円/平方m〜
フローリングの費用と職人さんの工賃を足したものですが、材料費の割合が高いのがフローリングのリフォームです。ここではフローリングの価格を3,000円/平方m、張りを3,000円/平方m、古い床材のはがしを3,000円/平方mとして計算しています。
古い床材をはがさずに上から張るといういう方法を使えば、6,000円/平方m~でのリフォームが可能でしょう。
また通常は平行に張るのがフローリングの定番ですが「く」の字に貼るヘリンボーンにすると味わいも深まるもの。もちろん工賃は跳ね上がってしまいますが。
まとめ
マンションのリフォームといっても千差万別ですから、本来ならば「相場は〇〇円~」といった紹介の仕方はすべきではないのです。しかし、最低ならいくらくらいかかるのか?というのは関心も高いでしょうから、今回は工務店のアドバイスを受けながら建築工事積算マニュアルを元に試算してみました。
そして最低の相場では決して満足できないのもリフォーム。お金をかければその分だけ満足度が上がるのもリフォームです。検討材料になれば幸いです。
(参考:マンションのリフォーム費用の相場は?キッチン・トイレなど全費用を公開!)
※筆者が親しくしている工務店の社長と「積算実務マニュアル」を元に価格にリアリティを持たせています。