リノベのハウツー
2020.02.20
玄関の上がり框(かまち)、高さとデザインをどう決めますか?
日本の玄関によくある「上がり框(かまち)」。住人や客を迎える場所であるため、多種多様な機能が要求されます。そのため、ちょっとの高さやデザインの違いで「使いづらい」と感じてしまうこともしばしば。
今回は、玄関の上がり框が持つ機能と、高さやデザインの決め方のコツをお伝えします。快適で楽しい生活は、玄関からも生まれるかもしれません。ぜひ参考にしてください。
玄関の上がり框はなぜあるの?
上がり框とは、玄関にある段差をつくる横木のこと。一般的には、靴を脱いで上がり框を上ることになるでしょう。
この上がり框がある意味をご存じですか?まずは、上がり框が持つ機能を確認しましょう。機能を知っていれば、家づくりの時に注意すべきポイントも自然と見えてくるかもしれません。
家の内と外を区切る境界としての上がり框
日本の家屋では、基本的に靴を脱いで屋内へ入ります。この「内と外」の区切りとして、上がり框は機能すると言われています。
例えば靴を脱ぐ文化のない欧米では、ドアを開ければすぐ室内へ入れると言われています。対して日本では汚れのついた靴をちゃんと脱ぎ、室内へ入るという順序を踏むことがほとんど。畳などの汚れやすい床への配慮とも言われますが、汚いものを持ち込まないという「結界」としての意味を持つとの話も。
上がり框で小休止
上がり框の段差は、腰かけて休むためにも利用できると言われています。
庭仕事などで疲れた時の休憩所として、また靴を履くときに腰かける場所としても利用できるでしょう。
広い玄関であればベンチのように腰かけて、尋ねてきた客と目線を合わせて会話するためにも、上がり框は役立ちます。家に上がって話すほどでもないことを玄関で軽く済ませる、なんてことも。ドラマなどでそんな風景を見たことはないでしょうか。
客を迎える玄関のデザイン性のため
上がり框にはデザイン性も期待できます。一般的な直線ではなくカーブを描いたものや、大理石などの素材にこだわったものまで様々。玄関の顔として、おしゃれなデザインで迎え入れることもできるでしょう。
上がり框の主な機能を3つご紹介しました。毎日のように使う玄関ですから、せっかくなら使いやすくしたいもの。そこで注目すると良いポイントは、まず上がり框の「高さ」と言えるでしょう。
玄関の上がり框、理想の高さはどのくらい?
一般的に上がり框の理想の高さは、一概に決められるものではないとされています。
上がり框の心地よい、使いやすい高さは人それぞれと言えるでしょう。玄関でいったん座りたい人は高い方が良く、足腰の弱い人にとっては低い方が良いということもあります。長年住んできた家の高さで慣れている高さも考慮すると良いでしょう。
具体的な高さの参考が知りたい場合、建築の基準をヒントにする方法があります。
例えば、国土交通省が定めた「バリアフリー基準」にて、上がり框の高さは180mm以内が望ましいとされています。これは高齢者など身体機能が低下した人も住みやすい家づくりの指標を表したものです。
また、多くのハウスメーカーでは戸建て住宅の上がり框の高さを150~180mmで設定しているとも言われています。
上がり框の高さやデザインに最適な基準がないことを解説いたしました。上がり框のつくりは、人それぞれのライフスタイルによって決まってくると言えるでしょう。そこで、最後にライフスタイル別にオススメしたい上がり框の作り方の例をご紹介します。
【ライフスタイル別】玄関の上がり框の作り方
上がり框はライフスタイルによって高さやデザインを決めることをオススメします。自分がどんな暮らしをしたいのか、玄関にどんな機能を求めるのかを考えて、「こうすればよかった!」という後悔を防ぎましょう。
玄関のバリアフリーを意識したい
高齢の方と同居する、自分や子供もラクに上れる上がり框を意識するのであれば、「バリアフリー基準」で推奨されている180mm以内に収めると使いやすい可能性があります。
思い切って段差を無くしてしまう方法もありますが、上がり框の持つ「境界」としての機能に物足りなさを感じてしまうかもしれません。上がり框に座る快適性が失われることも。
上がり框を低くするほかにも、式台(しきだい)と呼ばれる踏み台を設けることで上りやすくする方法もあります。
仕事やガーデニングの後、玄関でひと休みしたい
仕事から疲れて帰ってきたとき、ひとまず上がり框で荷物を置いて座りたい場合には高めに設定するとくつろぎやすいでしょう。仕事だけでなくガーデニングの最中に一休みする場合にも、ベンチのように上がり框を利用できると嬉しい場面があるかもしれません。玄関先で客とお話ししたい方にも高めの上がり框がオススメです。
デザイン性の高い玄関にしたい
玄関のデザイン性向上にも役立てられるのが上がり框。大理石や高品質な木材で高級感を出すのもひとつの方法。あえてカーブ状にして、「やわらかく受け入れてくれる玄関」を狙った演出をしても良いでしょう。モザイクタイルで好みのデザインにする方法もあります。
まとめ
玄関にある上がり框の機能は多種多様。境界としても、休憩の場としても利用できるポテンシャルがあります。高さやデザインは玄関の使い勝手や印象を左右する大切な要素。自分や家族がどんな玄関を必要としているか、ライフスタイルに合わせて決めていただくと良いでしょう。