リノベのハウツー
2020.02.03
「PS」パイプスペースという、厄介者との付き合い方
「中古マンションを購入して、リノベーションしよう」
こんな計画を立てると、間取り図を見るのが楽しくなります。「ここはリビングにしよう」とか「この壁は壊そう」とか、色々な想像がふくらみますね。そんな場合に、しばしば悩まされるのが「PS」。間取り図のど真ん中にあったりして、撤去・移動したくなるのです。
PSに悩まされるのはリノベーションの前だけではありません。転居後にありがちなのがPSからの騒音やPSに設置された給湯器の故障など。本来は地味なPSのはずが、存在感を発揮してくれたりします。
ここではPSにありがちな悩みと対策を、リノベーション前と後に分けてお話します
PSとはパイプスペースのこと
「LDK」「UB」「CL」など、間取り図には様々な略語が散りばめられていますから、慣れるまで混乱しがちです。「LDK」はリビング・ダイニング・キッチン、「UB」はユニットバス、「CL」はクローゼット……と、これらがわかる方にも難しい上級者向き間取り図略語が「PS」です。
「PS」とはパイプスペース、またはパイプシャフトのこと。水道管やガス管が通る場所を指します。ガス・電気・水道のメーターが設置されている「MB(メーターボックス)」とまとめて「PSMB」と表されているケースもあります。
動かすことができないPS
マンションによってルールが異なる場合はありますが、PSは多くのケースで共用部分に当たります。間取り図のど真ん中で大きな顔をしているPSは、撤去・移動ができないのです。
一方、共用・専有の区別がない一戸建てでは、PSを撤去したり移動する制限はありませんが、手を付けようとすると相当なコストがかかってしまうのが悩ましい点でしょう。
ジャマなPS。対策はあるのか?
PSが動かせないとするなら、それを逆手に取ることでリノベーションする方法はいくつかあります。
PSの外観を変える
PSの周りにあったトイレやキッチンを移動するとPSだけが残ります。まるで大黒柱のようになりますから、もう柱に見立ててしまうのです。装飾する、ニッチ付きの柱にする、壁にする、存在感をより大きくして空間のアクセントにしてしまいましょう。
PSを縮小する
PSの周りに取られている作業用のスペースを削ることで、PSの存在感を小さくしてしまいましょう。リノベーションでよく用いられるのがPS周りに収納を造ってしまう方法。たとえばPSをCL(クローゼット)に変えてしまうのです。
PSを活かして別のものにする
一戸建でありがちなのが天井を通るPSが出っ張りを造っていたり、壁がヘコんでいたりするケースです。リノベーションするなら、せっかくの凹凸を活かす方向で。たとえば机を造り付けてワークスペースにするのはいかがでしょうか。
PSの周りにあるトイレやキッチンを移動させるにしても制限がありますし、PSを小さくするにしても限度はあります。実際にリノベーションをするとなると問題点は出てくるとは思いますが、間取り図のど真ん中にPSがあったとしてもアイデア次第! 対処方法があることは覚えておいてください。
転居後のPSの悩みを解決するには?
最近建てられたマンションなら、PSは共用廊下の側に設けられています。MB(メーターボックス)と一カ所にまとめられているケースも多いでしょう。これならばリノベーションのジャマにはなりません。しかしリノベーション後にもPSが原因の悩みは起こるもの。代表的なものは騒音です。
PSからの騒音を抑えるには?
他の居住者が水を使うたび、PSから異音がする。こんな場合の対策は「パイプに遮音材を巻く」「周りの遮音性を高める」「パイプを消音タイプに変更する」の3つです。
<パイプに遮音材を巻く>
排水管の音が伝わらないようにパイプに遮音材を巻きます。鉛製の重量のあるタイプなら、音だけでなく振動も抑える効果が見込めます。また振動対策ならパイプがコンクリートと接する箇所に緩衝材が充填されているかどうかもチェックポイントです。
<パイプ周りの遮音性を高める>
壁にグラスファイバーなどの吸音材を施工したり、PSの壁自体を厚くしたり、壁を二重に張ったりするなど遮音性を高めるのも良い方法です。
<パイプを消音タイプに変更する>
通常のパイプを消音タイプに変更するのも良さそうです。たとえば塩ビパイプの周りにあらかじめ遮音材が追加されているものなら高い効果が得られるでしょう。ただ難点は工事の際に近隣の居住者の協力を仰がなければならないことです。
まとめ
リノベーションのプラン時にジャマになったり、リノベーション後には騒音を立てたり。PSはなかなか厄介な存在です。しかしPSがなければ上下水道が使えませんね。ならば上手く付き合っていくしかないのです。
その方法はすでにお話したとおり。リノベーションのスペシャリストと話し合った上で、最善の方法を探したいものですね。