リノベのハウツー
2020.01.05
住宅ローンの金利を計算!「わからない」を卒業しよう
住宅ローンの金利や利息の計算方法をご存じですか?一筋縄ではいかない計算方法ですが、これを知っておくことで借入金額と利息、そして返済期間の関係がわかってきます。関係性が把握できれば、自分でそれぞれの金額を調整してお得なプランを立てることも不可能ではありません。
今回は、住宅ローンの金利の計算方法をご紹介。とはいえ、自分でカンペキに計算できる必要はありません。「雰囲気」を掴んでいただければ、様々なお金の関係性がわかってくるでしょう。
3ステップでわかる、住宅ローンの金利の計算方法
まず「金利」とは何か、住宅ローン返済のシステムを説明します。金利や返済額についての漠然とした疑問も、このコーナーでハッキリしてくるでしょう。
ステップ1.「そもそも、毎月払うお金には何が含まれてるの?」
毎月支払う住宅ローン。実は、借りた分のお金だけを返している訳ではありません。
借りた分のお金(元金)を返しつつ、その使用料である利息も一緒に支払っているのです。その利息がいくらかを決めるものの一つが「金利」。
金利は基本的に%で表され、これを元金にかけることで利息が計算できます。実際は保険料などの経費も利息に含まれるとされていますが、今回は無視して考えましょう。
例えば、家を買うために1000万円のローンを組んだとします。この時、金利が1%なら計算は以下の通り。
1000万×0.01=10万
この利息は毎年かかります。貸主からすると「1年間、貸した手数料ですよ」ということになるでしょう。実際の利息を計算するには、さらに借り入れ期間をかけます。ここでは30年かけて返済するローンとしましょう。
10万×30年=300万円
結果、1000万円のローンを30年かけて返済する場合、300万円の利息も支払うことになります。
ステップ2.「毎月の利息額が変わるのはなぜ?」
基本的に、月々支払う利息は変わります。理由は単純で、毎月の返済で少しずつ借入金額が減るから。ステップ1の計算はあくまでおおざっぱなものです。利息の額は毎月、残っている借入金額から計算し直されます。
まず、金利を1%としたまま、1か月目の利息を計算しましょう。1000万円のローンを初めて返済する月です。
1000万×0.01÷12=約8333円
12で割る理由は、「1年間貸したことで発生する手数料」を月あたりに計算するためです。
毎月8万返済するプランなら、初月の返済額は約8万8333円となります。
そして2か月目の返済。この時には借入金額が992万円になっています。よって、利息はこの992万円に対するものへ計算されなおします。
992万×0.01÷12=約8266円
2か月目の利息は約8266円。計8万8266円支払うことになります。基本的には、利息は少しずつ減っていくと言えるでしょう。
これで利息が変わる仕組みをお分かりいただけたと思います。
ステップ3.「返済の方法には2通り。それぞれの計算式を見てみましょう」
住宅ローンの返済方法は2つ。「元金均等返済」と「元利均等返済」があります。とはいえ、これまでに説明したシステムが「元金均等返済」。2つのうちひとつはもう知っていただけた方法です。
a.元金均等返済
借入金額への返済額は毎月一定。金利から算出した利息が変わっていき、月々の総合返済額は変化します。
b.元利均等返済
こちらが新たに知る方法。利息を含めた月々の総合返済額を一定に決めてしまいます。その分、利息だけでなく借入金額に対する返済額も毎月変わるというものです。
月々の返済金額を計算するには、それぞれ公式に当てはめるだけで可能です。
a.元金均等返済
1か月目
(借入金額×金利÷365×30)+借入金額に対する返済額
先ほどまでは1年分の利息を12で割ったものでしたが、ここではいったん日数に換算し、そのうえで月30日とした計算をしています。カッコ部分が利息。それを月々の返済額にプラスすると、総合の返済額がわかります。
2か月目
(借入残高(借入金額-先月の返済額)×金利÷365×30)+借入金額に対する返済額
残りの借入残高に対して金利で計算されるため、利息は減っていきます。
b.元利均等返済
こちらはかなり複雑な計算です。理屈を把握するのは難しいかもしれません。しかしこの計算方法のメリットは、借入金額、金利、返済回数を変化させて毎月いくら返済すればいいのかシミュレーションできることです。
この元利均等返済は、住宅ローンにおいてポピュラーなものと言われてもいます。では計算式を確認しましょう。
(借入金額×金利×(1+金利)^返済回数)÷((1+金利)^返済回数-1)
記号【^】とは「ハット」と言い、~乗するという意味です。
一般的な電卓では計算が困難とされていますが、Exelなら計算可能です。
借入金額を1000万円、金利を1%、返済回数を360回(30年)とすると、Excelに次の計算式を入れれば毎月の返済額が出てきます。
【 =(10000000*0.01*1.01^360)/(1.01^360-1) 】
計算結果は、約10万円。「月々、約10万円ずつ返済していくことになる」ことを把握でき、将来の見通しが立ちやすくなります。
この計算式の金利、返済回数などを変えてみるとカンタンにシミュレーション可能です。例えば、返済回数を半分の180回にすると月々の返済額は約12万円、金利が0.8%の銀行でローンを組めば、月々の返済額は約8万円など。
一般的には、金利が安ければ返済額は安く、返済回数が減ると返済額は高くなると言われています。そして利息を減らすには、返済回数を少なくするのも有効な方法の一つです。
住宅ローンの金利には2つ種類がある
金利は大まかに分けて2種類から選ぶことになります。
1.変動金利
定期的に金利が見直されるもの。一般的には、固定金利より低金利に設定されていると言われています。しかし、今後金利が高くなる事態も考えられます。収入や生活スタイルによっては、返済が苦しくなる可能性もあります。
2.固定金利
ローンを借り入れた時の金利が維持されるタイプです。世間で金利が変動しても最初の金利で固定されているため、人によってはこちらの方が安心感があるかもしれません。「固定期間選択型」は多少柔軟性があり、設定された特約期間は固定金利が続き、定期的に変動金利へ見直す機会が設けられるものです。
住宅ローンの金利で損をしないためには?
「収入や貯金が心もとなく、とりあえず金利の低い変動金利を選ぶ」これも一つの手段ですが、かなりリスクがあるとも言えるでしょう。もし金利が高くなったとしても、すばやく繰り上げ返済することができれば返済総額は抑えることができます。そのような動きがとれない経済状況の場合、変動金利の選択には慎重になった方が良いでしょう。
「収入が少ない、不安定」「支出が多い、子育てなどで支出が増える可能性がある」このような方は、固定金利を選ぶと安心できるかもしれません。
借入れ金額を低く抑えるのも、金利の影響を抑える方法の一つです。
住宅ローンの金利、今後の予想はどう立てる?
2019年現在、金利は0.415~5.500%の幅で推移していると言われています。銀行間で金利が違うことも手伝って、このような大きな幅が生じています。数年前から金利の上昇がささやかれていましたが、実際には現在も低金利の水準であるとの判断がなされています。
今後の金利動向については、専門家による意見をご紹介します。
変動金利について、小松氏は
「2019年の水準は2018年と変わらないと見ている。2020年以降も、よほどのことがない限り、変化は見られないのではないか」
と予想しています。(nomu.com)
また、他の専門家も同様の意見を述べています。
深野氏も
「2019年中に変動金利の水準が変わることはないだろう。2020年も変わらず、確信は持てないが2021年も変わらない可能性が高い」
と予想しています。(nomu.com)
両者とも、ほぼ一致した見解をもっていることがわかります。
まとめ
住宅ローンにおける、金利に関連した計算方法を解説しました。難しいイメージが先行しやすいところではありますが、金利がどのように影響するものなのかお分かりいただけたでしょうか。
住宅ローンは長期にわたり生活に関わってきます。金利についての正しい知識を持ち、極力損をしないための考え方を身につけていきましょう。