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2017.09.01
“好き”を仕事に|ブレることだってあるから原点を忘れない
目次
“「大好きなニットをたくさんの人に知ってもらたいという思い」それが原点”
3歳の頃からお祖母様の手ほどきで編み物に親しみ、「毎日、気軽に、編み物を楽しんでほしい」という願いを込めて2009年にニットブランドを設立されたErikoさん。現在は、お子様の成長とともに活動を全国に広げつつある人気ぶりですが、そんなErikoさんも起業について悩んでいたそう。今日は、起業にまつわるエピソードや、現在の1日のスケジュール、今後の展望についてお伺いしました。
“「若い人たちにも伝えたい」という思いから生まれたニットアクセサリー”
編み物には古典的でステキなものがたくさんあるのですが、若い人たちにも知ってもらいたいという思いがあって、その頃はまだなかったニットでアクセサリーを作ってみることにしました。 ニッティングの経験がある人は多いけど、授業だから仕方なく。とか、マフラーやセーターといった少し手間がかかるもので、途中で挫折した。とか、ニットが本来もっている「癒し」とか「作品の自由さ」については、あまり知られていないと感じたのです。そして、自由度も癒しも感じられて、なおかつ身近なアイテムとしてニットでネックレスを作るに至りました。 起業仲間たちが、今までにないアクセサリーということ、デザインがシンプルで使いやすいこと、軽い素材で肩が凝ったりしないことなどで身に着けてくれるようになりました。そうして仲間に伝えることができた実感を通して、より多くの人たちにも伝えたいという気持ちが明確になっていきました。
“余談ですが、ニットは脳科学的にもセラピー効果があると言われてるんですよ”
[リラクゼーション療法の専門家ハーバート・ベンソン博士は、米「ニューヨーク・タイムズ」紙で、編み物には人をリラックスさせる作用があると指摘。細かい手作業を繰り返すと心拍数や血圧が下がり、血中のストレスホルモンが減少するという。](COURRIER JAPON より抜粋) MY LOHASでも「ヨガとしての編み物」として、フランスの本屋の「心の健康」コーナーに編み物の本が置かれていると伝えています。 このように、最近ではアンチ・ストレスとしても注目されているんです。
“起業したきっかけは、人とのご縁。つむいだ毛糸をくださった知人、立ち寄るカフェ、背中を押してくれた友人。心にあったのは、
編み物は趣味としてずっと続けていたのですが、ある時毛糸を紡ぐ方との出会いがあり、その紡いだ毛糸を頂いたお礼に編んだ物をプレゼントしました。その同じ年に、時々ふらっと立ち寄るカフェで1週間、作品の展示をさせて頂くご縁を頂きました。そうしたらそのカフェの常連さん方からレッスンのお声掛けを頂いたのです。昔、祖母が「手に職を持った方がよい」と言っていたのも心にずっとあって、そのご縁に感謝して初めてのレッスンを開催する運びとなりました。 そして、コミュニティでも多くのご縁を頂いています。ジェネリーノという 働く女性のコミュニティがあるのですが、そこでの企画にもお声掛け頂いて百貨店などでワークショップをしたり、同じように起業されている方々とも出会いがありました。実はプライベートからの知り合いでもあるジェネリーノメンバーでアニヴァーサリープランナーの友人がいまして、ホームパーティーという文化がまだ日本に定着していない頃プランナーとして活動していて、彼女がもう本当にキラキラと輝いていたんです。起業するときに相談したのも彼女なのですが、「やれるよ。やってみなよ」という一言に背中を押してもらいました。彼女の活動を近くで見るという体験ができたことも、大きかったと思います。
“大切にしていること”
まずは、自分でニットに触ってみる、編んでみるということです。肌に優しいか、さわり心地を自分で確かめるようにしています。そして作品は「シンプルに。でも新しいもの」を、心掛けています。たとえばニットアクセサリーの一つにニットリングというものがあります。これは、ニットで編んだ指輪なのですが、シンプルなリングにストーンなどで装飾を施しています。ちくちくしない素材で、やさしい肌触り。締め付けも少ないので夕方むくんだりしても大丈夫。このように、昔からある「編み物」というステキなモノに、今までにないデザインだったり、異なる素材の組み合わせで、新しいモノを作っていくことで、ニットの自由な可能性を多くの人たちに知って頂けたらと思っています。
“起業前のアルバイトが教えてくれたこと”
大学卒業後、旅行会社に勤務し、結婚退職。その後HACCIというはちみつを扱う会社でアルバイトをすることになりました。HACCIは「古くから伝わるはちみつの神秘的な恵みを現代女性に役立て、笑顔になってもらいたいと始めたブランド」であり、「従来のはちみつの概念をくつがえすアイデアとラグジュアリーをコンセプトとした美容アイテム(HPより抜粋)」を提案しています。 アルバイトをする中で「良い」と思うものに対する考え方、一つ一つ丁寧に厳選するなどの向き合い方、そして、「昔からある良いモノを、今までにないカタチにして新しい価値を付加する」ということは、この時経験して学んだことの一つです。まだ拡大前の状態から、現在では全国の百貨店に入っているという、店舗拡大の経緯を間近でみることができた経験も今とても役に立っています。
“子育てとの両立、子どもの成長をきっかけに出張にも”
■スケジュール ~レッスン日の、とある一日~ こちらは、レッスンがある日の一日のこと。作品作りがある日は自宅で終日行うこともあるし、展示会がある場合は3時起きのこともあって予定通りにならないことも多いです。 また、下の子どもの習い事で、代表を務める一年があったのですが、その年は代表のお仕事がメインになり、ニットの方はそれまでのように幅広く活動するのは難しい時期もあったりしました。 子どもがいると出張が難しいというのもあります。これまで、関西や中国地方からもお声掛け頂いていたものの、なかなか実現しなかったのですが、先日はいよいよ広島への出張レッスンが叶いました。家庭を守りながら、自分で仕事をするのは、すぐに叶わないこともありますが、今回は良いタイミングでご縁を頂くことができて、長年のやりたかったことが叶いました。
“今後の展望”
「多くの人にニットを知ってほしいという思い」を大切に活動を続けていきます。 この思いを叶えるための新しい活動としては、店舗の装飾にニットを提案していきたいと思っています。ニットはさわり心地だけでなく、見た目にも「ふわふわ」とか「色」等で癒しがあると思うのです。ニットで店舗装飾というのは新しい試みなので実現に向けて活動していきたいです。 また、以前香りのデザイナーさんとコラボし、企業様向けのサシェをお作りしたことがあります。ニットと香りは相性が良いんですね。香りがもたらす効果についても勉強したいと思っています。
“これから起業をしたい方へアドバイスがありましたら”
起業するには勇気がいる、資金もかかります。ブレない人なんていない。だから、「伝えたい」という気持ちを大切に大切に、原点を忘れずにいることが大切なのだと思います。
“インタビュー後記”
「ご縁があったので」「ご縁が…」と、ご縁をとても大切にされているErikoさん、でもそれは、そのご縁があるタイミングで、そのご縁を活かす準備ができていたということだと思うのです。また、「ニット」はさわり心地だけでなく、「ふわふわ」とか「柔らかい」質感は見た目にも癒されるものだと思うので、損なわれないように、例えば写真におさめる時にも気を付けるようにしています。と言うように、一つ一つに丁寧に向き合っている姿勢も人気の理由かもしれません。 最後に、「自分で起業した場合辞めたと言えば明日にでも辞められる。だからこそ、続けていく」と、起業仲間とよく話されるそう。あと2年で10年目を迎えるからこその世界がありそうです。
プロフィール
中村英里子 ERIKO NAKAMURA eknit-loop owner / Knit Designer 毛糸に出会ったのは3歳の頃、祖母の手ほどきで幼い頃から親しむ。『毎日。気楽に、編み物を楽しんでほしいという願いを込め、2009年にニットブランド『eknt--loop』を設立。ニットデザイナーとして活動をスタートした。初心者でも自分らしい作品が作れる編み物スタイルが評判となり、各地でレッスンを開催。生徒はのべ200人を超え、現在はインストラクターも開催している。代表作の『kint-ring』(ニットリング)は、数カ月待ちになることもあるアイテム。 http://eknitloop.thebase.in http://ameblo.jp/eknit-loop ■編み物講師実績 三越伊勢丹、伊勢丹新宿、伊勢丹OTOMANA,LOFT吉祥寺,表参道La clear ■ノベルティ ベアミネラル(ジェネリーノ企画) ■行政 杉並区立小学校土曜クラブ ■実績/メディア ■記事 連載 ︎ミキハウス 輝くママ 連載 ︎週刊東洋経済臨増 ワークアゲイン 2015.1.30発売 ︎ウェブマガジンベルタカフェにてベビーソックス飾り編みレシピをご紹介。 ︎ウェブマガジンdroppoにインタビュー記事掲載 ︎2017.09.05ライフスタイルマガジン MYLOHAS にインタビュー記事掲載 ︎2017.7.1沖縄FMなんじょう ラジオ出演 ■出版本 ズパゲッティで編むバッグと小物 学研プラス 発売中 作品5点掲載 ジャンボ針で編むバッグと小物 学研プラス 2016.10.10 発売 作品3点掲載 ■チャリティ活動 moms love JAPAN 2015.10よりメンバーとして活動中。"