今日の季節
日本には、1年を4に分けた四季があります。
さらに24に分けた二十四節気があり、さらに72に分けた七十二候があります。ほぼ5日周期で季節は移ろいでいるのです。
その変化に私たちは気づかずに生きているのかもしれません。
ところが身体と心はそのかすかな変化を感じとり、気づかぬうちにその環境の変化に対応してくれています。
二十四節気と七十二候に心を寄せる時間。
ほんの少し、いかがですか。
2017年10月28日〜11月1日 霎時施す(しぐれときどきほどこす)
霎という字は通常、訓読みで“こさめ”と読みます。音読みは“そう”や“しょう”と読みます。
ただ、ここでは“こさめ”と書いて“しぐれ”と読みます。
小雨(こさめ)よりも少し強い感じはしますが、時雨(しぐれ)が降るようになる頃です。
時雨とは、初冬の頃に一時的に風が強まり急にパラパラと雨が降り数時間で通り過ぎます。冬の風が吹き始めたときの寒冷前線がもたらす雨です。
この季節の養生
秋分に入った際に『涼燥』というのをご紹介いたしました。
これは漢方的な季節のとらえ方でしたね。
秋の乾燥した空気と冬の冷たい空気が混じっている気候のことです。
立冬ももう間近に迫ってきました。
秋分の頃と比べても、空気には冬の冷たさが混じっていることをより感じる時期です。
薬膳での養生は、ずっとお伝えし続けている肺をはじめ体を潤す作用のある食材と、体を温める作用のあるものを摂るように心がけます。
秋分の頃にお伝えした食材をここで振り返ってみましょう。
肺を潤す作用のある食材は、
・いじじく
・あんず
・柿
・ハチミツ
・松の実
・卵
・白キクラゲ
・豆腐
・白ごま
・ヨーグルト
肺を潤す作用のある食材は、
・生姜
・にんにく
・ニラ
・ネギ
・味噌
・黒砂糖
他にも、もち米や、クルミ、鶏肉、茗荷、わさび、らっきょうも体を温めさらに肺にも作用する食材です。
この季節のまめ知識
毎年10月31日はハロウィンです。
日本でも以前から知られていましたがここ数年で一気に身近なお祭りとなりました。
日本では輸入されたお祭りだからか、商業的であったりコスプレなどのファッションとパーティーを楽しむ雰囲気が広まります。
ご存知の人も多いように、本来は秋の収穫をお祝いしたり悪霊を追い出す宗教的な意味合いのある行事です。古代ケルト人が紀元と言われています。
後にハロウィンはヨーロッパからアメリカにも伝わり、そこでカボチャをくり抜いて顔を模したちょうちんを飾ったり、子どもが魔女やお化けに扮してお菓子を貰いに回ったりするようになったのだそうです。
この季節に楽しみたいお祭
ハロウィンの賑やかさと対照的な、日本の伝統的な落ち着いた風情感じるお祭りを楽しむのもまたいいものです。
七十二候“菊花開く”の際に少しだけご紹介した『菊まつり』。今年の重陽の節句は10月28日ですので、多くの菊まつりもこの時期から催しが始まります。
重陽の節句は奈良時代に中国から伝わりました。今のように鑑賞用としてではなく長寿の薬草として菊はもたらされました。
旧暦9月9日に菊の花びらを浮かべた酒を呑み交わし無病息災を願いました。
時が進むに連れ、日本独自な楽しみ方が加わってきます。
平安時代には“菊合わせ”といって、交互に菊の花を差し出しながら歌をつけて優劣を競ったり、持ち寄った菊の花の美しさを品評して優劣をつけたりする菊のコンクールが催されるようになりました。
また、菊を使って厄払いや長寿を願って宴を楽しんでいました。
会場となるのは、湯島天神や喜多院などの神社や寺院など歴史ある場所であることがほとんど。菊まつりを楽しむついでに歴史的な建造物や街並などの雰囲気も楽しめます。
参考文献
・『日本人が大切にしたいうつくしい暮らし』井戸理恵子/かんき出版
・『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし〜』白井明大/東邦出版
・『大切にしたいにほんのたしなみ』広田千悦子/Softbank Creative
・『和の暦』堀川波/朝日新聞出版
・『中医薬膳学』辰巳洋/東洋学術出版
・『性味表大辞典』竹内郁子/青雲社"