今日の季節
日本には、1年を4に分けた四季があります。
さらに24に分けた二十四節気があり、さらに72に分けた七十二候があります。ほぼ5日周期で季節は移ろいでいるのです。
その変化に私たちは気づかずに生きているのかもしれません。
ところが身体と心はそのかすかな変化を感じとり、気づかぬうちにその環境の変化に対応してくれています。
二十四節気と七十二候に心を寄せる時間。
ほんの少し、いかがですか。
2017年9月28日〜10月2日 蟄虫戸を坏す(すごもりのむしとをとざす)
夏が終わり、寒さの到来を察知した虫たちが土の中へ。
戸をふさいで巣ごもりの支度を始める頃です。
この季節の養生法
そろそろ本格的に秋〜冬の乾燥対策を行いたい時期ですね。
空気の乾燥の影響がすでに肌に表れているという人もすでにいらっしゃるかもしれません。
「皮膚は内蔵の鏡」という言葉を耳にしたことがある人は多いはず。
なかったとしても、毎日1度は鏡でご自身の顔を見ますよね。その時に顔の変化に気づかれるのではないでしょうか。
体調の悪い時には肌の張りがなくてなんとなくたるんでいるようだったり、クマができていたり、ニキビができていたり、時には湿疹が出てきたり。乾燥が気になることもありますよね。
体調の良い時には、肌の張りがあったり、艶があったり、なんだか顔立ちがすっきりしていたり、透明感があったり、潤いがあったり。
ご存知のことでしょうが、お肌の状態によって推測できる内蔵の弱っている場所は違います。
今回は『乾燥』に焦点をあてて見ていきましょう。
以前からしつこくお伝えしていますように、秋は“燥邪”といって空気の乾燥が身体にとって悪さをしやすい形に姿を変えやすい季節。
お肌の乾燥対策としては、クリームを塗ったりして念入りに保湿をするというのは常識のように皆さんされていますよね。
もちろんそれも大切です!
漢方では“津液(しんえき)”といって血(けつ)以外の液体が不足しがちになる季節なのです。潤いは肌や髪だけでなく、体内のあらゆるところで必要としている栄養です。津液が不足すると表面の肌や髪を潤す余裕がなくなります。
ですので、内側から体を潤すケアも必要なのです。
前回お伝えした体を潤す作用のある食材を摂ることも気をつけてみてくださいね。
また、津液が足りていても血が不足している場合も体の各部位やお肌に必要な栄養が行き届かなくなることが原因で、乾燥肌が引き起こされている場合もあります。
血を補う食材は、
・肉類
・魚貝類
・卵
・ほうれん草
・モロヘイヤ
・なつめ
・しめじ
などがあります。
特に女性は血が不足しがちなので、どちらかではなく、体を潤す作用のある食材と血を補う作用のあるものの両方を意識的に食されてもいいかと思います。
この季節のまめ知識
この時期は、古くから日本各地にも多くのお祭りが秋には行われていますよね。
その中の1つが京都・北野天満宮の『ずいき祭』です。
このお祭の始まりは村上天皇(946〜967年)の時代と伝えられています。
「ずいき神輿(みこし)」を奉り、その年の野菜や穀物の収穫を感謝の気持ちを捧げます。
ずいき祭の“ずいき”とは“里芋”のこと。
神輿の屋根を里芋の茎で覆います。その他の部分はすき間なく穀物や野菜、湯葉や麩などで覆います。さらに乾燥させたキンセンカという花や歌謡や昔話から採った人物の造り物が飾られます。
毎年10月1日〜5日に行われます。
この季節に用意しておきたいもの
エアコンが当たり前の昨今、
“季節が秋本番に入ってきたから”という理由も冷えについて語るにはもはや時代遅れもいいところかもしれません。
とはいえやはり、冷え性の人にはこれからが辛い時期に入ります。
漢方では、お腹は体の中心という意味から『お中』と呼ばれています。この体の中心部を温めることで全身も温かくなっていきます。
思い返せば、子どもの頃に「お腹は冷やさないように」とか真夏の夜でも「お腹にはお布団をかけて寝るように」なんて言われた人も少なくはないのではないでしょうか。
ところが、冷え性と自覚がある人でも冷えが最も気になる部分は手足という人は意外と多いようです。
今までの季節なら、屋内は冷房で冷えても屋外に出ると猛暑。
カーディガンのようにその都度着たり脱いだり調整できなかったアイテムが、これからは大活躍できる季節。
それは“腹巻き”です。
近年はお洒落なデザインのものや薄手の性能にこだわったものなどバリエーションも豊富になり店頭でも見かける機会が一段と増えてきましたよね。
今はまだ必要ないかなと感じていても、ある朝、急に寒さを感じたりするものです。まだ余裕があるうちに用意しておきたいアイテムです。
選ぶ時のお勧めポイントとしては、コットンやシルク100%のもの。どちらも通気性・保温性・吸湿性に優れており、直接肌に密着させても安心な自然素材です。
・『日本人が大切にしたいうつくしい暮らし』井戸理恵子/かんき出版
・『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし〜』白井明大/東邦出版
・『大切にしたいにほんのたしなみ』広田千悦子/Softbank Creative
・『和の暦』堀川波/朝日新聞出版
・『性味表大辞典』竹内郁子/青雲社
・『女子漢方』矢久保修嗣・木下優子・上田ゆき子/法研
・北野天満宮HP http://kitanotenmangu.or.jp/info/未分類/news_3.html"