今日の季節
日本には、1年を4に分けた四季があります。
さらに24に分けた二十四節気があり、さらに72に分けた七十二候があります。ほぼ5日周期で季節は移ろいでいるのです。
その変化に私たちは気づかずに生きているのかもしれません。
ところが身体と心はそのかすかな変化を感じとり、気づかぬうちにその環境の変化に対応してくれています。
二十四節気と七十二候に心を寄せる時間。
ほんの少し、いかがですか。
2017年9月17日〜22日 玄鳥去る(つばめさる)
ツバメが子育てを終えて、南に帰る頃です。
“玄鳥”というのは通常“げんちょう”と読み、燕(つばめ)の別名です。
文字通り“げんちょうさる”と読む場合もあるようですが、当て字で“つばめさる”という読み方が広く知れ渡っているようです。
"この季節の養生"
以前からしつこくお伝えしていますが“秋は乾燥”の季節。
イチジクも乾燥対策に抜群の食材です。
イチジクの旬は、品種によって違うので初夏〜秋にかけてです。
では、イチジクが乾燥の季節に良い理由をみていきましょう。
イチジクは薬膳的に言うと“潤肺”といって肺を潤す作用を持っています。
肺が潤されると、それによって引き起こされる空咳の予防や改善も促されます。
さらに、肺と関係の深い大腸にも好影響がもたらされます。
肺が乾燥して弱ってしまっていると、大腸も弱ってしまいます。
すると、その影響として便秘に苦しむ人も少なくはありません。
その便秘が長引くと、肌の調子が悪くなったり口臭がしたりと他の不調まで引き起こされてしまいます。
つまり、肺の状態が改善されればつられて大腸の調子も改善されることが多々あります。
もちろん、大腸が先に不調を起こした結果、肺にもその影響が起こることもあり得ます。
便秘が改善されると、呼吸が楽に深くできるようになる感覚に気づく人もいらっしゃるのではないでしょうか。
これはまさに肺と大腸が密につながっていることを体感として理解できる証拠ですね。
栄養学的に見ても、イチジクは食物繊維やミネラルが豊富なので整腸作用があります。
果実の赤い色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンの色です。抗酸化力があるので肌のしみやくすみにも良い栄養素です。
この季節のまめ知識
今年の彼岸入りは9月20日(水)です。
秋のお彼岸は、秋分の日を中日として前後3日の計7日間。
今年の中日は9月23日(土)。彼岸明けは9月26日(火)です。
“彼岸”というのは、三途の川を挟んだ向こう側、仏様の世界のこと。
それに対してこちら側、私たちの住む世界を“此岸(しがん)”といいます。
そして、彼岸は西方、此岸は東方と考えられており、お彼岸の日は太陽はちょうど真西に沈む日です。
彼岸は仏様の世界ですから、煩悩を脱した悟りの境地です。
この時期には、悟りを開けるように仏道修行の期間という意味合いもあります。
ちなみに国民の祝日に関する法律では、
秋分の日は『先祖を敬い亡くなった人を忍ぶ』とされています。
多くの寺院では彼岸会や法要も行われており、お墓参りをする風習があります。
お墓参り以外にも、お仏壇や仏具をきれいに掃除し清め、供花やお供え物をします。
お供え物は、精進料理や果物、お菓子などですが、秋分の日のお菓子で定番なのが“おはぎ”です。春分の日なら“ぼたもち”といいますよね。
秋は萩の花にちなんだ呼び名で、春は牡丹の花にちなんだ呼び名です。
この季節だから知っておきたい花
ちょうど秋のお彼岸の頃に咲くのが“彼岸花”。
別名、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)。
この彼岸花は、リコリンという毒を持っています。
主に根の部分にありますが、茎や花など全体的に広がっています。
しかし、触るだけでは無害とされています。
この毒はモグラやネズミ除けになるとされ、田んぼのあぜ道を守るために多く植えられたのだそう。今でもその名残が各地で見受けられます。
ちょうどお墓参りに行く時期ですが、彼岸花は避けた方が無難です。
お供え用のお花にこれでなくてはいけないという決まりはありませんが、一般的には、毒のあるもの・香りの強いもの・棘のあるものは避けられています。
この点には気をつけて、故人が好きだったお花をお供えし、故人に思いを馳せる時間を持つのもいいですね。
(供花は、地域や宗教によっては決まりがある場合もありますのでご確認ください)
・株式会社石乃家HPhttp://www.ishinoya.co.jp/first/france/post_55.html
・メモリアルアートの大野屋HPhttp://www.ohnoya.co.jp/faq/dictionary/ohigan/
・インターネット花キューピットhttp://www.i879.com/hanablog/category/manner/
・『日本人が大切にしたいうつくしい暮らし』井戸理恵子/かんき出版
・『日本の七十二候を楽しむ〜旧暦のある暮らし〜』白井明大/東邦出版
・『大切にしたいにほんのたしなみ』広田千悦子/Softbank Creative
・『和の暦』堀川波/朝日新聞出版
・『性味表大辞典』竹内郁子/青雲社
・『本格漢方』週刊朝日MOOK"