リノベのハウツー
2017.09.01
理想通りには行かない?二世帯住宅リノベーションの難しさ
それまで子供や夫婦だけで暮らしていた世帯が、引っ越しや建て替えなどを機に、二世帯住宅を考えることがあるでしょう。新築で建てる場合はともかく、既存の住宅をリノベーションして二世帯住宅にする場合には、いくつか注意点があります。どういったところに注意するべきなのか、ポイントごとに見ていくことにしましょう。
“水回りが二箇所になるデメリット”
通常の住宅であれば、キッチン、お風呂、洗面台、トイレなどはそれぞれひとつで済みます。もちろん、大きな家であればトイレやお風呂などが複数になることもありますが、基本的には一箇所です。 しかし、二世帯住宅となればキッチン以外に関しては二つずつ備える必要がありますので、この水廻りの配管がリフォームの際に問題になります。例えば、お風呂の位置が決まっていればそこの近くに給湯器を設置するわけですが、二世帯住宅では二箇所にそれがあるため、配管が長くなってしまう恐れがあるでしょう。配管が長ければ熱効率も悪くなるうえ、トラブルも起きやすいので注意が必要です。お風呂やトイレなどが二階にあるなら、それも気をつけるべきポイントと言えるでしょう。排水は下に向かって流れますので、深夜や朝などに水を使えば一階に住んでいる人にその音が伝わってしまいます。二世帯住宅 は音のトラブルが起きやすいものですから、水を使う施設の配置に難しさがあるのです。View this post on Instagram
“バリアフリーの必要性”
家の中のバリアフリーについても、二世帯住居では問題になるところです。ほぼ間違いなく高齢者が住むことになりますので、ユニバーサルデザインの家具や扉、階段などバリアフリーに配慮した設備が必要になります。リフォームの際にこういった特殊な設備を使えば、費用もかかってしまいますし、特殊な工事が求められて工期が延びてしまうということも考えられるでしょう。 また、世帯同士の交流がどの程度あるか、という微妙な問題にも触れなければなりません。家全体をバリアフリーにする必要は本来ないのですが、高齢者が子供世帯の方に頻繁に行くようであれば、全ての扉をユニバーサルデザインのものにするのが理想です。逆に一階は親世帯、二階は子供世帯というように分離され、行き来があまりない状態であればその必要もないでしょう。親世帯の部分だけをまずバリアフリー化してしまい、必要になったら追加工事を行うという手段もあります。ただその場合は、トータルの工事費用が高くなってしまうかもしれません。View this post on Instagram
“電気の配線と温度管理”
二世帯住居では、電気系統の配線も複雑になりがちです。特に若い世帯では、スマートフォンなどの充電のためコンセントが多く必要になります。また高齢者世帯でも、介護用ベッドや電動車椅子など、電気を使う設備がやはり必要です。このため、壁の中をどのように配線を通し、コンセントをどこに設置するかということをしっかりと検討しなくてはなりません。 それだけではなく、温度管理も非常に大切です。ひとつの家庭だけでも暑がりや寒がりなど室温に対しての考え方は異なるため、二世帯では特にこの点に注目してリノベーションする必要があるでしょう。エアコンの数や位置を検討するだけではなく、窓をどこに設置して換気を行うか、などまでリフォーム前に計画を立てておく必要があります。特に高齢者にとって、極端な高温や低温は命取りになりますので、住民全員にとって快適な温度を維持できるような工夫が求められるのです。View this post on Instagram
“まとめ”
大規模なリノベーションは、とても費用のかかることです。特に二世帯住居においては、通常のお家より様々な制約が存在するため、工事にかかる前に十分な検討が必要です。高齢者向けのバリアフリーや音の問題など、いくつかのポイントを押さえておくことが重要になります。費用と世帯の状況をよく勘案して計画を立て、リノベーションに臨みましょう。"